文献詳細
臨床実験
原発広隅角緑内障に対するIsoxsuprine Hydrochlorideの治療効果について
著者: 北沢克明1 川西恭子1 後藤いづみ1 中村泰久1 中村千春1 能勢晴美1
所属機関: 1千葉大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1521 - P.1527
文献概要
交感神経系についての知見の増大とともに,adrenergic agentの眼圧あるいは房水動態におよぼす作用が近年特に注目されている。α—作用物質によって房水流出が増加することについては,いくつかの報告がある1)2)。一方,β—作用物質の房水動態におよぼす影響についてはいまだ定説がない。代表的なβ—作用物質であるisoprotere—nolの局所投与により眼圧下降が生ずることはすでにWeekers et al3),北沢・川西4), Ross&Drance5)らにより報告されているが,その房水流出抵抗におよぼす影響については意見の一致をみるに至っていない。一方,同じβ—作用物質であるDuvadilan (Isoxsuprine HCI)の局所投与により,水川ら6),北沢ら7)は人眼において房水流出率の増加を認め,特に水川らは緑内障に対し房水循環改善の目的でDuvadilanを用いる意義について述べている。
また,Duvadilanはβ—作用に基づく血管拡張作用を有し末梢循環血液量を増加させることから,その緑内障性視野変化に与える影響について検討することは興味あることと思われる8)。
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