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特集 第23回日本臨床眼科学会講演集 (その2)
眼窩蜂窠織炎様の症状を呈したWeber-Christian病の1例
著者: 田島幸男1 菅野雄行1 助川勇四郎1 岡野正1 堀内知光1 横地圭一1 吉田苑1 石田陽一2 深井孝治2
所属機関: 1群馬大学医学部眼科学教室 2群馬大学医学部第一病理学教室
ページ範囲:P.237 - P.244
文献購入ページに移動Weber-Christian病(以下W-C病と略す)は,発熱などの全身症状を伴い,再発をくりかえすことを特徴とする,非化膿性結節性脂肪織炎(relapsing febrilenon-suppurative nodular panniculitis)の別名である。本症は1892年Pfeifer1)の報告以来,内外ともに比較的多くの記載がみられ,わが国では昭和26年,横山,籏野ら7)の報告に始まつて,すでに100例を越している。しかるにこれらの報告例は,皮膚科あるいは内科などで観察されているのみで,眼科領域におけるW-C病の記載は,わが国にはまだ見当たらず,海外においてもきわめて少ない。
著者らは,終始,眼窩蜂窠織炎様の眼部変化を主徴とした本症の1例を経験したが,眼窩における病変は,病理学的にW-C病の本態である脂肪織炎であることが確認された。本例のように,主病変の場が眼窩組織を占有したという報告例は,内外ともに全くみあたらず,すこぶる興味ある症例と思われるので,ここに報告する。
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