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特集 第23回日本臨床眼科学会講演集 (その2)
斜視手術におけるゼルフィルムの応用
著者: 湖崎克1 内田晴彦1 三上千鶴1 森和子1 柴田裕子1
所属機関: 1大阪市立小児保健センター眼科
ページ範囲:P.245 - P.251
文献購入ページに移動斜親の手術が単に第1眼位における眼球偏位を矯正することのみが目的でないことは衆知のことである。第2眼位,第3眼位さらに日常の眼球運動が矯正されなければ,その目的は達せられない。一般に手術量も,後転量は6mmまでと定められているのも,術後の運動障害のおこらぬためである。また斜親手術が,同一眼に何回か繰り返して実施された例で,眼球運動が著しく障害された例もあり,その場合,運動障害のための複視や両眼視機能障害をみることも多い。要するに,斜視手術はあくまで眼球運動障害を残さぬよう留意すべきものである。
術後眼球運動障害の原因としては,過剰後転で赤道部より後方に眼筋が付着した場合,眼筋そのものが何回もの手術操作で著しく損傷された場合,眼筋が周囲組織と著明に癒着し,運動制限が著しい場合などがあるが,最も多く見られるのは,周囲組織との癒着である。われわれが,再手術のさい結膜を切開して最も多く遭遇するのは,眼筋と強膜とのまつわり部分の癒着より,テノン氏嚢,ひいては制御靱帯との癒着であり,第2回の手術の量はもちろんのこと,初回の手術の筋露出のさいにも細心の注意が必要となる。
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