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臨床実験
内頸動脈海綿静脈洞瘻の2例—自然治癒例について
著者: 宮城勇1 川口進2
所属機関: 1弘前大学医学部眼科学教室 2弘前大学医学部神経精神医学教室
ページ範囲:P.281 - P.289
文献購入ページに移動内頸動脈海綿静脈洞瘻は解剖学上,特殊な条件のもとに動静脈が交通することによってひきおこされる興味ある疾患である。その原因,症状,治療などについては,今日までに少なからぬ報告がなされている。わが国の眼科領域でも,拍動性眼球突出症として約50例近くの報告がみられる。近年脳血管撮影が,その進歩と普及によつて頭蓋内疾患の重要かつ有力な診断法の一つとなつたこと,一方,交通外傷の激増する社会情勢において,本症の発生原因の7割近くが外傷によることを考えると,本症は今後,われわれ眼科にたずさわる者にとつて遭遇する機会はますます多くなるものと思う。本症は一度発生すると,一般に進行性であり,自然治癒の少ないものとされている。今回著者らは,本症で良好な視力を回復し得た症例と,視力は回復し得なかつたがやはり自然治癒をきたした症例を経験したので報告する。
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