icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科24巻4号

1970年04月発行

文献概要

連載 眼科図譜・149

トキソプラスマ原虫を証明したbrawny scleritisの1症例

著者: 徳田久弥1 岡村良一2 釜野久枝2

所属機関: 1杏林大学 2熊本大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.461 - P.462

文献購入ページに移動
〔解説〕
 brawny scleritisのbrawnyとは塩漬にした肉という意味の言葉で,病変部の強膜が非常に厚く肥厚発赤するところからつけられたもので欧米ではこの病名がよく用いられている。わが国ではgeratinous scleritisという名称の方が広く用いられているが,強膜炎のほかに難治のブドウ膜炎を合併し予後の不良なことが多い。好んで中年の女子をおかし,原因は結核・梅毒,リウマチなどいろいろいわれているが,実のところ不明である。
 われわれの経験した症例は,45歳の女子で,右眼に虹彩炎を初発し徐々に眼内炎へと進み,2年後にはじめてbrawny scleritisを起こしてきた珍しい例であつて,結局3年日に眼球摘出をした。しかも左眼が右眼摘出後1年で右眼と全く同様の重篤なbrawny scleritisと眼内炎を生じ失明同様の状態におちいつた。ところが,トキソプラスマHA抗体価が異常に高いことがわかり,スピラマイシンとステロイド剤の併用を強力に行なつた結果,炎症が消退し視力もやや回復,同時にHA抗体価も低下した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら