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わたしの意見
吉田義治先生に寄せておもうこと
著者: 杉田慎一郎1
所属機関: 1杉田病院
ページ範囲:P.602 - P.603
文献購入ページに移動 吉田先生がお亡くなりになってから,もう10年以上の年月が流れた。若い眼科医の方たちの中には,そのお名前すら知らない方もあろうかと思う。名古屋市立大学初代の眼科教授としての吉田先生は,外見的には決して華やかな方ではなく,集談会での話も,重い口から出る表現は難渋なもので,言外にふくまれた長年の経験からの含蓄深い内容は,なかなか汲み取りにくいものであった。お弟子さんのお世話も決して上手ではなかつたようで,いわゆる"指導者"としては,それほど最適な方であつたとはいえないと思う。私は先生の指導を受けたものでもなく,先生が教授を退官されてから2年ほどたつてお亡くなりになる前に,ある機会からわずか半年ぐらい,それも週1回午前中私どもへおいでいただいて,むずかしい患者をみて教えていただいただけの関係である。その半年間先生の示された臨床的態度は感銘深く,私の現在の診療の根底の一部となつているような気がする。吉田先生は,京都大学で市川先生の下で助教授をされ,最後のころに1年間,当時ドイツ第一と言われたLiebzigのHertel教授の下に留学された。そこで非常に良い学究生活をされたらしく,2年後やはり中島実先生もHertelのところへ行かれて日本人の実に評判の良いのを母国に報告されている。その後,大阪の赤十字病院の眼科部長として,手術の名人といわれた市川清先生とヨーロッパでの数々の見聞をもとにして縦横に腕をふるわれてから名市大に就任された。
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