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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科24巻5号

1970年05月発行

雑誌目次

特集 第23回日本臨床眼科学会講演集(その5)

螢光像よりみた小血管瘤の基本的形態とその臨床的意義について

著者: 石川清 ,   霜鳥政光

ページ範囲:P.633 - P.640

 糖尿病性網膜症(以下単に網膜症と略)における小血管瘤の基本的形態を螢光像の面から検討し,あわせて,その経過観察から興味ある成績を得たので,ここに報告したいと思う。

20ローレンス腎性糖尿と眼底所見

著者: 横山葉子

ページ範囲:P.641 - P.654

I.研究目的
 Lawrenceの腎性糖尿には,PrediabetesおよびChe—mical diabetesが多数潜在するといわれているが,その眼底所見を検討することによつて,糖尿病発症以前の網膜の様相を把握しようと試みた。

未熟児網膜症の光凝固による治療II—4症例の追加ならびに光凝固療法適用時期の重要性に関する考察

著者: 永田誠 ,   金成純子

ページ範囲:P.655 - P.661

I.はじめに
 未熟児網膜症の活動期病変が,未熟児保育にさいして過剰な酸素を使用することにより起こりやすいということはすでに常識となつているので,未熟児の保育に無制限に酸素を使うことはほとんどなくなつていると思われるが,特発性呼吸障害症候群をはじめ,なんらかの身体異常を伴う未熟児では酸素投与が不可欠なことが時にあり,このような症例で酸素を長期にわたつて使用すれば,重症の未熟児網膜症を発生してくる危険がある。逆に酸素投与をできるだけ短期間にとどめようとすれば無酸素症ないしは低酸素症による後遺症として脳性麻痺が発生する可能性が大きくなつてくる。
 竹内1)がMcDonaldの未熟児追跡調査を引用して,小児科医が眼か脳かさらに生命かというジレンマに立たされることがありうると述べているのは低体重の未熟児保育の進歩したこんにち決してまれな事態ではないと考えられる。

イメージ管を用いた螢光眼底映画撮影装置

著者: 真鍋礼三 ,   水川孝 ,   鈴木達朗 ,   藤井徹 ,   丸山節郎 ,   池田光男 ,   浅越貫一

ページ範囲:P.663 - P.666

I.まえおき
 螢光眼底撮影における連続螢光撮影法の採用は,各種の網膜循環動態を知るうえで非常に有効な手段となつている。しかし,撮影間隔を短縮させてより詳細な時間的経過の知見を得るためには螢光眼底映画撮影法が必要とされ,すでに欧米では1959年Flocksら1)によりネコの螢光眼底映画撮影が試みられている。人眼にこれを採り入れたのは1963年L.M.Hartら2)が最初であり,その後この分野に関してはウサギとかサルの撮影も含めて多くの報告がある3)〜11)。また,わが国では藤沢ら12)によつて人眼による螢光映画撮影が報告されている。
 ところが螢光眼底映画撮影法では,古くから行なわれている普通の眼底映画撮影13)〜20)の場合と同様に一つの大きな問題がある。それは,撮影間隔のより短い高速度映画撮影を行なおうとすれば照明光量をあげる必要が生じることである。このため人眼の撮影においては当然患者に対する苦痛が増してくる。この問題に対してはいろいろな対策がとられている。高感度フィルムの使用とか増感現像がその例であるが,現状ではこれにも限界がある。われわれのところではこれをイメージインテンシファイアー(映像増倍管)を用いて解決できるのではないかと考えた。イメージインテンシファイアーはイメージ管の一種であるが,これは非常に暗い像を電気的に明るい像に変えるもので,暗い星の観測とかイオン顕微鏡写真とかに利用されている。

網膜剥離手術後にみられる黄斑部皺襞形成について

著者: 福地悟 ,   坂上英

ページ範囲:P.667 - P.680

I.緒言
 網膜剥離手術の目的は,単に剥離せる網膜を解剖学的に復位させるだけでなく,機能的な回復を目差していることはいうまでもない。とりわけ,中心視力,すなわち黄斑部の機能の回復を重要視するがゆえに,周辺部の視野を時には犠牲にしてまで,黄斑部の網膜の復位と機能回復を計るのである。ところが最近われわれは,網膜剥離を手術によつて一旦完全に復位せしめ,良好な視力をえたにもかかわらず,数週ないし2〜3カ月を経て,徐々にあるいは急速に黄斑部に著明な皺襞形成,周囲血管の蛇行,黄斑部偏位などの変化をきたし,視力が著しく低下した6名の症例を経験した。

シリコンチューブによる人工涙道2年間の経過観察について

著者: 深道義尚 ,   加藤昌義 ,   永井充子 ,   斎藤信之

ページ範囲:P.681 - P.682

 昭和42年の臨床眼科学会において,われわれは新しい製品として,シリコンチューブによる人工涙道形成の方法を発表した。人工産物としてシリコンは,生体組織に対し最も反応の少ない物質の一つとして知られている。したがつてシリコンチューブも組織に対する反応が少ないであろうことを期待したものであつた。しかし,当時発表した症例は,臨床経過観察は最長のものでも6カ月にすぎず,人工涙道の永続性に関しては多くの疑問を投げられる状態であつた。その後2年間を経過し,この方法による臨床的効果について一応結論を出しうると考えられるので,以下にその臨床経過を述べるとともに,今後の人工涙道形成について考えてみたい。
 使用したシリコンチューブは,高研製の内径2.5mmのものである。チューブ挿入による人工涙道形成の方法は,結膜面で涙湖より涙嚢窩に至り,鼻涙管を経て下鼻道に至るまで,全涙道をシリコンチューブにより形成する方法である。チューブの一端は杯状に開いており,杯状部は,幅2mmの薄いシリコン膜で作られている。この部が結膜面に露出し,下方への脱落を防止する役をなすように作製したのである。

新しい色ならべによる色覚検査と色覚異常像の見直し

著者: 堤修一

ページ範囲:P.683 - P.693

I.新しい色ならべ法
 色覚検査の理論的な方法は,色空間,色立体全般にわたる色覚異常の状態,主に形と程度を正しくつかまえていなければならない。
 その検査結果から,たやすくその人の色彩判別能力,色彩作業能力がわかり,それをもとに,その能力にふさわしい適性職業が選ばれなければならない。

色覚異常に関するSpecial Clinic5年間(500例)の経験

著者: 深見嘉一郎

ページ範囲:P.696 - P.698

 1964年4月に京都府立医科大学眼科において色覚異常に関するspecial clinicを開設した。色覚異常を訴えて精密検査を希望するものを一般外来とは別に時間を定めて予約し,その時間に著者がassociateとして出向いて検査し,その後に種々の解説をした。
 1965年に1年間の経験を報告した。その後ほぼ同じ方針で運営して,5年が過ぎた。今年の7月で5年3カ月,500例に達したので,その報告をする。基本的には最初の1年間と大きな変化はない。5年間続けた結果,はじめの1年間の結果を再確認できたことになる。

カラー螢光眼底撮影法によるFluorescein-Naの真性螢光といわゆる偽螢光との鑑別

著者: 松井弘治

ページ範囲:P.699 - P.703

I.緒言
 螢光眼底撮影法は網脈絡膜疾患の臨床診断や病態生理解明の手段として広く応用され,多くの研究成果が報告されている1)〜7)。しかしその読影に関しては多くの未解決の問題が残されている。
 特に現在一般に行なわれている白黒フィルムによる撮影法(以下白黒法と略す)では,偽螢光を有するといわれる白色の組織は励起光を反射し,Barrier filterを通してFluorescein-Na (以下Fl-Naと略す)による真の螢光と同様に白く写るために,真の螢光(以下螢光と略す)との鑑別には,対照とすべきカラー眼底写真なしにはほとんど不可能であつた。また偽螢光を発する組織の内部に漏出する螢光の判別には,特に困難なことが少なくなかつた。

眼部より発生せる悪性黒色腫5例

著者: 田中直彦 ,   桝田英郎 ,   土屋雅彦 ,   宮地誠二 ,   河野宗浩

ページ範囲:P.705 - P.712

I.緒言
 悪性黒色腫は有色人種には発生頻度が低く,本邦の文献における報告例も比較的少ない。著者らは当教室において昭和34年より昭和43年までの10年間の外来患者総数55,551例の中に眼部より発生した悪性黒色腫を6例経験した。そのうち5例について,その臨床所見および病理組織学的所見について検索し得たので,ここに報告する次第である。なお,今回の報告例における発生部位は,眼瞼1例,毛様体2例,脈絡膜2例である。

血圧変化に伴う網膜動脈径の変化—動脈硬化性変化との関連

著者: 近山行夫 ,   飯田稔 ,   守分志津江 ,   明里泰子 ,   小町喜男

ページ範囲:P.713 - P.714

I.緒言および目的
 高血圧症の眼底所見において,網膜細動脈狭細は,高血圧性変化の主要所見の一つとされている。細動脈狭細の成り立ちには,機能的,器質的の2種があると考えられているが,その両者の移行および鑑別に関しては,必ずしも細部まで明らかにされているとはいいがたい。一般には,高血圧症の初期から機能性狭細が現われ,その後,高血圧の持続ないし進展に伴い,(その間に多少の動揺があるとしても),狭細が増強していき,器質的な狭細と化すると考えられているようである。われわれは,疫学調査を通じて得た眼底カラー写真による血管計測を行ない,高血圧症が進展しても,それに伴つて,網膜細動脈が直線的に狭細化するものでなく,動脈硬化により血管壁の収縮力が弱化するために,網膜細動脈は,ある時期には,収縮した時点からみれば,むしろ拡張を起こすと考えられる知見を得た。また,同一人の眼底を経年観察することにより,この事実を確認し,さらに,血管内径を忠実に表わすと考えられている螢光撮影法によつても確かめた。これらは,昨年までの日本公衆衛生学会,日本老年医学会において発表してきた。
 今回は,機能的狭細の存在を確認するとともに,網動脈狭細に対する細動脈硬化の影響を明らかにするため,血圧の変化と,網膜細動脈径の変化の関連を検討した。

多彩な臨床像を呈したOcular Sarcoidosis

著者: 川崎善和 ,   嶋本寿 ,   前田裕子

ページ範囲:P.715 - P.719

I.緒言
 Sarcoidosisとは組織学的にはほとんど壊死を示さない類上皮結節を主とし,Schaumann小体またはaste—roid bodyを伴うという巨大細胞が存在することに特徴がある。原因不明の全身的疾患群であると定義づけられている。
 Sarcoidosisは本邦の眼科方面からの報告は,1951年に教室の飯沼・近江が上強膜類肉腫症の1例を発表したのが最初で,それ以来多数の報告がみられる。

眼瞼扁平上皮癌の電子顕微鏡的観察

著者: 雨宮次生 ,   小山信一

ページ範囲:P.721 - P.731

I.緒言
 電子顕微鏡レベルでの腫瘍研究が行なわれるようになつてから久しい。腫瘍研究に電子顕微鏡が使用された当初,多くの研究者10)13)が期待したほど,本器械の使用により腫瘍の本態の解明ははかどらなかつた。むしろ,腫瘍についての知見を,ますます多彩なものにしているともいえる。
 電子顕微鏡による腫瘍研究の指向するところは,腫瘍細胞の超微細構造を観察して,光学顕微鏡レベルの所見を補いつつ,腫瘍細胞の最も本質的な形態学的criteriaを確立することにあることは,いうまでもない。そして,人体ならびに実験的腫瘍の形態学的記載,細胞化学的記載,腫瘍化過程の形態学的所見の記載,腫瘍の臨床診断の一助としようとする試み,ウイルス性腫瘍の研究へと展開しつつある。

新抗癌性物質ブレオマイシンによる2例の眼瞼癌腫治療成績

著者: 土方文生 ,   工藤英夫 ,   小関武 ,   青島周明 ,   田崎敏子 ,   酒井文明

ページ範囲:P.733 - P.741

I.はじめに
 昭和31年(1956)に梅沢らにより発見され,その後種々の研究結果から,ことに抗癌性のあること,なかでも皮膚癌のごとき扁平上皮癌に有効であることがわかつてきた,Bleomycin (以下文中ブレオと記す)を,眼瞼皮膚癌の2症例に使用し,その効果を知る機会を得たので,その臨床像および病理組織像を通じて,若干の考察を加えて発表する。

連載 眼科図譜・150

黄卵様黄斑変性と限局性網膜色素上皮剥離

著者: 松井瑞夫 ,   折坂和子

ページ範囲:P.629 - P.630

〔解説〕
 症例1:27歳の男性.初診43年6月26日。眼疲労を主訴として来院し,諸検査を実施中,第1図のような,卵黄様黄斑変性の典型像を右眼に発見した症例である。左眼にはSorsbyのいう,本症の吸収期あるいは破かい期とよばれる病期に相当する病変がみられた。本症の詳細については,文献1)を参照されたい。
 症例2:29歳の男性。症例1の兄である。弟の左眼にみられる吸収期に相当する所見が両眼の黄斑部に発見された。視力は,V.d.=0.8 (n. c.), V.s.=0.7 (n. c.)である。

銀海余滴

国際眼科学会を迎えるために

著者: 進藤晋一

ページ範囲:P.682 - P.682

 日本で国際眼科学会が開かれる機運が熟しつつある。大いに結構なことで,日本の眼科の水準を世界に紹介し,その実力を正しく評価してもらうべきであろう。これに関連して,日常感じていることを少し書く。
 数年さきのことであるし,日常身辺の用品などでも,どんどん改良されていく速度の早い時代であるから,現在の私の考えが一つの笑い話となれば幸いであるが,とにかく,現在の時点の話しとして述べたい。同時通訳その他,関係される当事者は,用意万端を整えるにちがいないが,なお残るのは言葉の障壁であろう。日本の学者は研究に明けくれるので,英語会話の練習などに割く時間はないし,少数のたんのうな学者を除いては英会話のできないのが現状である。「学術書は読めても,会話はできない」いというのが通常である。これは少しも恥じる必要はない。しかし,実力のある,活躍してほしい学者がダンマリで,「英会話ができる」そのことだけで,どうかと思うようなひとたちのひとり舞台にしたりすることは迷惑千万なことである。

わたしの意見

わたしの意見

著者: 油井直行

ページ範囲:P.744 - P.745

照明について
 私は青森県の学校保健の指導に当たつて,早くから「学校保健活動の実際」−1960(実際は2年前に原稿完成)青森県教育委員会,青森県学校保健会出版p.254〜—において螢光燈スタンドより白熱電球の方が視力にも学習効果にもよいことを力説し,その後昭和36年青森市で全国学校保健大会,全国学校医大会が開かれた時の資料にも白熱電球を使つた方が近視の発生が少ないことにふれ,それらの別刷をその後30部位日本眼科医会役員会のおり事務室においてきた。農林中金のパンフレット昭和41年11月の(みのり)のP.12〜の家を建てる—子供部屋の電燈は全部白熱電球であり,勧銀のパンフレット第44号(昭44年3月)にも勉強机に白熱電球を配し,45号では照明は2種類に,天井に螢光燈,机の上に白熱電燈をと明記している。ところが数年前電力会社で学校を歴訪して螢光燈スタンドたる「明視スタンド」を宣伝し,私としては全く困却した。私の知るかぎりにおいては,螢光燈スタンド推せんの根拠となる科学的データもないようであり,照明学会には眼科の人は名目だけ,大半が建築関係と電気メーカー,そして事務所がメーカー内にあつてその援助下にあるとなれば,このたびの大学騒動で大学当局としても産学協同を非とする態度を出さざるを得なくなつた好個の事例であろう。あるいはいう,明るければよいではないかと。しかし問題は能率と疲労である。

印象記

第21回国際眼科学会

著者: 清水弘一

ページ範囲:P.754 - P.756

 メキシコの国際眼科学会は終わつた。現在の専門化と情報手段の豊富な時代に,数千名もの眼科医が一堂に会する必要と意義とが果してあるかとの一般的な問題だけでなく,日本にとつても,いくつかの特別な問題提起のあるできごとではなかつたかと思われる。
 日曜日(8日)の開会式,土曜日(14日)の閉会式を抜くと正味5日間の学会である。前回のミュンヘンの第20回学会(1966)が,国際見本市に使われる体育館みたいな会場をいくつも動員したのに対し,今度は,大ホール一つに小ホールが五つ,全体で一つの屋根の下に入ってしまう円形の医学国際会議場(Medical Center)が用いられた。東京上野の文化会館をもう2まわり大きくしたものを考えればよいと思う。

国際螢光眼底シンポジウム

著者: 清水弘一

ページ範囲:P.758 - P.759

 メキシコの国際学会の直前,3月5日と6日にマイアミで国際螢光眼底シンポジウムが開かれた。昨年6月のアルビ(フランス)の続きといつたものであり,200人は軽く越える盛会であつた。
 国際学会とはいつても,アメリカ国内で開かれる気安さから,同時通訳などはつけず,英語一本槍である。アメリカ英語にも地方により方言があるとかのことで,その道の人でなくても,ボストン出身とテキサス育ちの違いぐらい簡単に聴きわけられるのだそうであるが,さいわい,マイアミでは,あまり癖のない判りやすい英語を話すのだそうで,その意味では大いに助かつた。全員がホテルに缶詰めになり,会期中一緒にいるというしかけである。

臨床実験

成人弱視眼の自然治癒例について

著者: 藤野亨

ページ範囲:P.763 - P.765

I.緒言
 小児の弱視眼と異なり成人の弱視眼は弱視練習の困難さ,効果に対する疑問などによりほとんど放置されたままになつている現況である。しかしながらDünkel1)(1960),Aichmair2)(1963),Tillson3)(1967),Hund—son,Walker4)(1967)は成人の弱視患者にPleopticsを行ない視力の改善を認めた症例を報告している。これらの症例はいずれも健眼が失明したために弱視眼のPleopticsを行なつたものであつて,このことは成人の弱視眼でも視力の改善が期待できるという希望を与えるものである。
 著者は健眼が網膜剥離のため失明,または相当の期間失明に近い状態になつたのに対して,一方の弱視眼が自然に視力を回復した2症例を経験したので報告したい。

Aminocyclohexylpenicillinの眼科的応用のための基礎的,臨床的検討

著者: 三国政吉 ,   大石正夫 ,   周田茂雄 ,   今井正雄 ,   高橋篁子

ページ範囲:P.767 - P.772

I.緒言
 Aminocyclohexylpenicillin (以下AC-PC)は,米国Wyeth社で研究開発された新しい合成PCの一つである。
 本剤の抗菌スペクトルはAminobenzylpenicillin (以下AB-PC)に類似して,グラム陽性菌ならびにグラム陰性菌に対して作用し,広域性PCに属し,かつ全身投与時の血中濃度および臓器内濃度がAB-PCに比べて高いのが特性である。

眼精疲労に対するアデノシン点眼薬の臨床的効果について

著者: 蒲山久夫

ページ範囲:P.773 - P.776

I.はじめに
 従来ATPは眼科領域において注射剤または腸溶錠として,眼精疲労,調節衰弱,外眼筋麻痺などに用いられ,認むべき効果が確認されており,さらに角膜保存に対する有効性,あるいは筋注による網膜血管の拡張効果などが知られている。このATPを点眼液として眼局所に用いて同様の効果を期待することはまだ試みられていない新しい課題であるものと考えられる。
 著者はATPの前駆体であるアデノシン0.03%を含有する点眼液を作り,これを都立豊島病院眼科外来患者のうち,特に眼精疲労を主訴とするものに適用し,その治療効果,副作用などについて観察したので,その結果をここに報告すする。

第23回日本臨床眼科学会 GROUP DISCUSSION

眼心身症(第6回)/医原性疾患(第3回)

ページ範囲:P.779 - P.782

I.各種精神異常者の視野変化
 管状視野がヒステリー以外の各種精神疾患(神経症,うつ病)においても見られるという見解の妥当性を検討したもので,神経症ではretension neuroseで,うつ病では反応性うつ病で,ともにヒステリー性要素の強いものに管状視野が認められた。強迫性神経症には認めなかつた。精神分裂症は測定不能であつた。またヒステリー患者は11例中7例に,小児ヒステリーでも管状視野が証明された。この時家庭の不和,兄弟の競合を直したところ管状視野も消失し,視力も正常となつた。

コンタクトレンズ

著者: 中島章 ,   柴田博彦

ページ範囲:P.783 - P.785

 今回の議題は「コンタクトレンズの装着の限界について」とし,適応症,装着時間,角膜障害などを含め上記の問題を生物学的,光学的,あるいは医学的立場より話し合つてみたいとの主旨であつた。しかし前日までに集まつた演題は下記のごとく,この範囲を越えて,各種の基礎的な問題,他学会への出席報告や,外国旅行に関する談話なども加わつていた。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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