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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科24巻6号

1970年06月発行

文献概要

特集 第23回日本臨床眼科学会講演集(その6)

網膜,脈絡膜循環障害とKallikrein,Kinin等の動態

著者: 宮永嘉隆1

所属機関: 1稲田登戸病院眼科

ページ範囲:P.890 - P.898

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I.はじめに
 生体の炎症反応あるいはallergy反応時に,Bradyki—ninをはじめとする生体活性Kinin類が,他の起炎物質,Chemical mediatorなどとともに重要な役割を果しているであろう事実は,すでに多くの研究が実証しているところである1)2)。なかでもBradykininは他の物質に比して,毛細血管透過性亢進作用,末梢血管拡張作用(静脈側の収縮による)がきわめて強く,臨床的にも多くのallergy疾患,炎症性疾患にその増量活性化が認められ,抗Bradykinin剤が治療面で大きな効果をあげている事実がある3)4)。こういった意味で眼科領域においてもKinin物質の関与しているであろう疾患を多く想定できるし,とりわけ血管系に富む脈絡膜,網膜の循環障害による疾患にはKinin系物質がその一大原因となつているとも考えられる。そこで今回,私は各種眼疾患における血中Kallikrein,Bradykinin系物質の測定を試み,特に網膜,脈絡膜循環障害を原因をする疾患をとりあげ,その患者血中Kallikrein, Bradykininの動態を検討し,あわせて抗キニン剤の効果を研明するとともに黒ウサギを使用し,その脈絡膜,網膜に及ぼすKallikrein, Bradykininの直接効果を検討し,いささかの成績を得たので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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