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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科24巻7号

1970年07月発行

文献概要

臨床実験

閃輝暗点症に対する一治療法

著者: 石川明1

所属機関: 1東電病院眼科

ページ範囲:P.967 - P.971

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I.緒言
 閃輝暗点症は必ずしも数多い疾患ではない。昭和43年度における東電病院眼科外来患者の統計では新患者総数3116名のうち,わずか14名を数えるにすぎない。しかしながら閃輝暗点症はその特異な症状がきわめて印象的である。すなわち前駆症についで,突然起こる視野内の一過性の星芒状の閃輝,あるいは非定型的な閃輝的ちらつきと視野の欠損を自覚し,ついで頭重,頭痛,あるいは眩暈,嘔気,嘔吐,全身の倦怠感を伴い,その後しばしば同様の症状をくり返すことによつて,患者にかなりの苦痛と不安を与える疾患である。事実,忙しい生活に追われ,多くの仕事を抱えて,日々これを処理せねばならない勤務者や,入試などのために,連日,猛勉を夜遅くまで続けねばならない受験生が,くり返すこの発作のために悩まされ,われわれを訪れた時,一日も早くこの苦痛から解放させようと心を悩ます者は,おそらく著者一人だけではあるまい。「よく眠りなさい」とか「少し仕事をやめなさい」という言葉はなんら患者の現実的な悩みの解決にはならないのである。著者の経験では,この疾患はむしろ都会生活者に多く,高年者より若年者に,肉体労動者より頭脳勤労者に,高血圧患者よりも血圧正常か,低血圧傾向の人々,性格的には神経質で几張面,内省的で責任感の強い性格の持主に多いようである。成書によればこの疾患の原因は,脳の皮質,あるいは,皮質下における脳障害によつて起こるものである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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