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臨床実験
典型的な進行性糖尿病性網膜症(Scott Ib型)の1例
著者: 福田雅俊1 井手健彦2 三木英司2
所属機関: 1東京大学医学部付属病院分院眼科 2東京大学医学部第三内科
ページ範囲:P.1063 - P.1074
文献購入ページに移動糖尿病性網膜症(以下網膜症と略)のなかには,比較的太い網膜血管系の異常—特に広範な血管新生—を主要病変とした進行性の強い一群があること8)11)が従来知られていた。Scott16)〜18)はこれをIbからVbに至る特別な1系列の病型と考えて,ほかの一般的な経過をとるものと区別することを提唱したが,この型のものは短時日のうちに失明に至る危険率のきわめて高いため,その治療的対策には,下垂体手術2)7)10)23)や網膜光凝固療法12)15)などの多くの苦慮が払われてきた。
最近われわれはこのScott Ib型17)と判定し得る典型的な進行性網膜症を有する若年型糖尿病の1症例を経験し,全身療法の改善強化と網膜光凝固療法とにより,その進行を一応阻止し得たので,ここに報告したい。
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