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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科25巻10号

1971年10月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・168

肺癌の虹彩転移例

著者: 堀内知光 ,   助川勇四郎 ,   赤羽信雄

ページ範囲:P.2055 - P.2056

〔解説〕
 臨床的に観察される悪性腫瘍のブドー膜への転移は甚だ少ないものとされており,とりわけ虹彩への転移は非常に稀である。
 症例は62歳の男性で,右視力障害を主訴として某医を訪れ,虹彩腫瘍を発見されて当科に紹介された。

臨床実験

白点状網膜炎の螢光眼底所見

著者: 五十嵐良 ,   田中宣彦

ページ範囲:P.2057 - P.2061

緒言
 螢光眼底撮影は網膜血管系の変化や,網膜,脈絡膜の疾患の診断や本態の解明に極めて有力な手段である。われわれは白点状網膜炎の兄弟例に対して螢光眼底撮影を行ない,白点の本態にたいして若干の考察を加えたので報告する。

網膜剥離手術後における瞳孔異常について

著者: 吉田宗永

ページ範囲:P.2063 - P.2064

緒言
 網膜剥離の復位手術として,ジアテルミー凝固とともに強膜短縮,Scleral bucklingなど眼球にかなりの侵襲を加える術式がひろく採用されているので,網膜剥離そのものによる網膜の機能低下の他に,眼球壁に加えられる諸種の手術侵襲の瞳孔に及ぼす影響の存在が推定される。しかるに今迄,網膜剥離手術後瞳孔異常については,Ad—ler and Scheie3)及びKronfeld1)らの報告をみるにすぎない。
 私は諸種の術式により行なわれた網膜剥離復位手術成功例について,瞳孔の大きさ,形,対光反応の検査をしたので,その成績について報告する(両眼手術10例を含む)。

早期手術,早期弱視治療を試みた先天白内障児の遠隔成績—周辺視野狭窄を伴つたHallermann-Streiff症候群(不全型)の1例

著者: 秋山晃一郎 ,   菅井摩利子 ,   秋山明基

ページ範囲:P.2065 - P.2068

緒言
 両眼先天白内障,特に小眼球,水平眼振等を合併した場合等は,その手術後の視力は一般にかんばしいものではなく,術後矯正視力0.1に達しないものが多い様である。著者らは2例の先天白内障児に1歳以下の時点で手術を行ない,直ちにコンタクトレンズを処方,早期よりPleopticsを行なって,6年間にわたり経過を観察した。第1例はHallermann-Streiff症候群の不全型と思われる症例で,小眼球と水平眼振を伴つたもの,第2例は通常みられる先天白内障児であり,水平眼振はあるが小眼球を伴わないものである。今この2例の臨床経過,及び予後を比較検討し,興味ある結果を得たのでここに報告する。

肺癌の虹彩転移例

著者: 堀内知光 ,   助川勇四郎 ,   赤羽信雄

ページ範囲:P.2069 - P.2071

緒言
 悪性腫瘍のブドウ膜への転移は,はなはだ少ないものとされており1)〜3),とりわけ虹彩への転移は極めて稀であつて,本邦においては原ら4)の報告が見られるのみである。
 著者らは虹彩腫瘍から肺癌を発見し,それが転移性虹彩癌であることを病理組織学的に確認した1症例を経験したので,その大要を報告する。

眼・光学学会

角膜形状測定の一方法

著者: 丸山節郎 ,   藤井徹

ページ範囲:P.2075 - P.2082

はじめに
 近年,コンタクトレンズ装用性の問題,屈折異常成因の解明等に関連して,角膜表面の形状を測定する必要性が高まつている。これらに関して多くの試みが報告されているが,その一つとして,フォトケラトスコピーがある1)〜8)
 この方法は,角膜前方に同心円板等をおいて角膜によるその反射像を撮影し,撮影した像をフィルムから計測する事により,角膜各部の曲率半径等を求めようとするものである。従来の方法は,撮影の際にピント合わせを厳密に行なわなければならない,撮影像が全面にわたつて明瞭なものにはなりにくく正確な計測がむずかしいなどの欠点を持ち,測定精度が不十分で,非球面である角膜表面の定量的な測定に用いるのは困難であつた。

大型眼底カメラ(第2報)

著者: 加藤尚臣 ,   田尾森郎 ,   岡島弘和 ,   野寄達司 ,   馬場賢一

ページ範囲:P.2085 - P.2088

緒言
 著者等はさきに眼底カメラの新しい仕様に関する基礎実験を行ない,その結果,解像力をあげるか,または広画角にしうるような対物レンズの可能性を見出し,第1報として報告したが,この対物レンズを実際の眼底カメラに応用する場合に生ずる問題,たとえば表面反射の除去などについて一応の成果をえたのでここに報告する。

Gullstrand模型眼とGoldmann Contact Lensの改良

著者: 小沢秀雄 ,   岡本紀久夫

ページ範囲:P.2089 - P.2096

緒言
 市販されている眼底カメラによる眼底における解像力の理論的限界は,カメラ内に設けられている光束絞のためそれ程高くなく,1mm当り200本前後である。細隙灯顕微鏡も対物レンズの有効径に比して,作動距離が比較的に長いためにNAも必然的に小さくなり,分解の限界もせいぜい260本どまりであり,ほとんどの市販品は200本以下である。眼底カメラや細隙灯顕微鏡の限界解像力を向上させることはそれ程むずかしいことでなく,現在の様に高解像力レンズが数多く造られている技術をもつてすれば,容易に開発可能であるといえる。
 有効光束径も大きくすることによつて,光学系のみの限界解像力は向上出来ても,眼底における分解能を向上させるためには眼球自身のもつ球面収差や色収差などを,光学系と同等以上に除去することなしには,如何に観察や撮影のための光学系の性能をすぐれたものにしても無意味である。眼球の収差を除去する光学系をつくるためには,まず眼球そのものの収差が明確になる必要がある。

前房隅角立体撮影装置の試作について

著者: 三国政吉 ,   岩田和雄 ,   八百枝浩 ,   藤井青

ページ範囲:P.2097 - P.2104

緒言
 近年前房隅角検査が緑内障診断上欠くことのできないものになつていることは,ここに事新しく言うまでもないことである。
 これを観るには隅角鏡を用いて,双眼の細隙灯顕微鏡にて立体観察するものであるが,これを立体写真に撮影するには,(1)1枚ずつ2枚一対の写真をとつて組合わせるか,(2)この2枚のものを同時に撮影するかで,これには特別の装置を用いなければならない。(1)については私共は既に臨眼23巻誌上(1969)に報告した。

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第25回日本臨床眼科学会・日程

ページ範囲:P.2108 - P.2113

ご注意
会員の皆様に
 1.会場は両日とも,群馬県民会館(前橋市日吉町一丁目,Tel.0272—(32)—2402)で,第1会場は1階の大ホール,第2会場は2階の小ホールです。グループディスカッションは4,5階の各会議室,小ホールおよび地階リハーサル室で行います。
 2.受付は,20日(土),21日(日)の両日行います。受付で氏名,所属をご記入のうえ,会員証とプログラムをお受取りください(会費1,000円)。

第24回日本臨床眼科学会 Group Discussion

遺伝性眼疾患—特に網膜色素変性

ページ範囲:P.2115 - P.2118

1.魚鱗癬と角膜混濁について
赤羽 信雄(群馬大)
 魚鱗癬の眼合併症,特に角膜深部の混濁の報告はきわめて少ない。
 演者は43歳および6歳の男子,ならびに本症の多発している家系の22歳,33歳,45歳の男子の角膜深部に混濁を認めた。病変は主としてDescemet膜にあるが,症例によつては内皮または固有質の一部にも及んでいる。混濁の形態はおおむね微細斑点状,一部は絡み合つた糸屑状であつて,びまん性に散在している。これに対して演者は,仮にDystrophia multiformis profundacorneaeと命名した。34歳の1例には眼圧の上昇があり,しかも皮膚症状の季節的変動と眼圧との間に,多少の関連性が証明された。以上の角膜病変は単なる偶然の合併ではなく,原因として遺伝的ならびに先天的な内分泌障害が想像され,細隙灯顕微鏡で注意深く観察すれば,決して稀なものではないと考える。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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