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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科25巻12号

1971年12月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・170

6年間の経過をみたクロロキン網膜症

著者: 田中留志男

ページ範囲:P.2227 - P.2228

〔解説〕
 クロロキン製剤長期連用による眼障害は角膜症と網膜症が知られており,前者は比較的多く見られ,内服を中止する事によつて自然治癒するが,後者は症例も少なく,内服を中止しても症状は改善されず,次第に悪化するといわれている。
 しかし,実際に長期にわたつて経過をみた例は少ないようである。本例は6年間にわたつて経過を観察中のものである。

臨床実験

視野の所謂求心性狭窄の種々相—視野の病態IV

著者: 諫山義正

ページ範囲:P.2229 - P.2238

はじめに
 視野障害は基本的には次の三つに分類される。
(1) Contraction (抑制)

北海道地方におけるベーチェット病の実態

著者: 青木功喜 ,   藤岡憲三 ,   勝俣寛 ,   大野重昭 ,   野中富夫 ,   小野弘美 ,   音無克彦

ページ範囲:P.2239 - P.2243

緒言
 ベーチェット病が我国に異常に多く,近年漸増の傾向を示している。一方この疾患の解明の遅れの為失明する人が年々増加するとともに,眼症状以外に全身症状の悪化の為死亡する症例も見るに至つている。このため実態を知る事は緊急な仕事となつている。北海道というまとまつた生活圏の実態を知る為,1970年10月北海道大学医学部眼科学教室,札幌医科大学眼科学教室,北海道衛生研究所によつて北海道ベーチェット病調査研究グループが作られた。今回の報告はこのグループの成果である。

Malignant Glaucoma—発生機序と治療

著者: 菅謙治 ,   山本美夫 ,   永田誠

ページ範囲:P.2245 - P.2251

緒言
 1869年にGraefe1)が対緑内障手術後の,前房の完全又は不完全消失を伴つた高眼圧の状態をMalignant Glaucomaと記載して以来数多くの報告がなされている。Malignant Glaucomaは文献上虹彩切除術,管錐術,虹彩嵌置術,毛様体解離術などあらゆる対緑内障手術後にみられ,しかもその発生頻度は2〜4%2)と比較的高く,本院の最近3年間の発生数も第1表に示す如く,対緑内障手術173例中3例と約1.7%に達し,更に他医による対緑内障手術例を加えると4人5眼となる。
 本症に関しては既に先人により数多く記載されているが,未だすべてが解明されたわけではなく,しかも周知の如く早期に適切なる治療を行なわないと予後は極めて不良である。そこで本報ではMalignant Glaucomaの発生機序と治療について考察を試みた。

手術

幼児の眼瞼下垂に対する簡単な定量的手術法

著者: 原たか子 ,   原孜

ページ範囲:P.2253 - P.2255

緒言
 成人に比べて,幼児の眼瞼下垂には多くの問題がある。私達は,現在,フリーデンワルド原法に,二つの簡単な改変を行なう事により,幼児に対して,局麻下でも,極めて簡単であり,かつ,術後の定量的矯正が容易で,確実である方法を使用しているので報告する。

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私達の外来白内障手術

著者: 進藤晋一

ページ範囲:P.2258 - P.2259

 本論は第486回東京眼科集談会において,佐野豊子,鶴岡康子,関静,宮田ユキとの連名のもとに講演を行なつた「私達の外来白内障手術」の要旨である。

臨床眼科 第25巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

談話室

特発性網膜剥離の予防をめざして

著者: 児島昭徳

ページ範囲:P.2261 - P.2265

 特発性網膜剥離が近視眼に多いことは多くの統計が物語っており,又,その種の剥離に高頻度に合併することによりその前病変ではないかと考えられている網膜孔,格子状変性,あるいは硝子体網膜癒着による硝子体牽引などの網膜周辺部病変も同様近視眼に多いことが報告されている。一方網膜剥離に関する手術の発展は,Gonin以来のジアテルミーに加えMeyer-Schwickerathの光凝固,さらにはCryoretinopexyの再評価など,予防的にも治療的にもかなり確立された時代に入つた。そのような時にあたつて,特発性網膜剥離の予防に正面から取り組むべく宿命を負つているのは,胃癌における早期発見の努力と成果を例に引くまでもなく,他の国に比べて近視眼が異常に多いとされている我が国をおいて他にない。しかし,残念ながらそのような取り組みの具体例はいまだ報告なく,早期発見は幸運な偶然に頼つているのが実情であろう。剥離予防の為の,網膜孔段階での早期発見の重要性は一般に認められておりながら,現実には実行され難い原因として,一つには,医師全般の不足に基づく眼科専門医の絶対的不足が考えられるが,他に,早期発見に是非とも必要な正常眼底の日常的集団検診に関して,症状もないのに眼底まで調べるわけにはゆかないといつた保険医療上の制約や,手間のかかる眼底検査はとても集団検診の形では行なえないといつた,一種のあきらめがあるように思われる。

眼・光学学会

Zeiss Jenaフォトスリットランプの使用経験

著者: 大島祐之

ページ範囲:P.2269 - P.2272

緒言
 細隙灯写真撮影について,わが国では,朝岡氏1)以来,武田2)3),坂上4),伊藤ら5),馬場ら6),松浦7)8),木村ら9),三国ら10)の諸氏により,いろんな角度からする報告がみられ,細隙灯写真の重要性,機構上,使用上の問題点や一般的注意事項についてはすでに詳しく述べられている。一方,細隙灯写真装置の製品は約10年前に西独Zeiss社,仏Gamb社から市販されたのに始まり,現在では各社の製品があるが,その最新のものは東独Zeiss Jena社が約2年前に発表した装置で,同時的立体写真撮影の機構など,従来の製品に比べて数々の特徴を具えているので,その使用経験を中心に,細隙灯写真撮影おにける新たなる問題点を追加したい。

細隙灯顕微鏡撮影法

著者: 中島章 ,   赤松恒彦 ,   山崎守成 ,   高橋禎二 ,   藤田邦彦 ,   川村緑 ,   牧田紀子 ,   長谷川弘

ページ範囲:P.2275 - P.2283

緒言
 細隙灯顕微鏡は,最近では検眼鏡とならんで,眼科臨床では必須の光学器械と考えられるようになつた。しかしその臨床的意義は,検眼鏡のように,それによつて肉眼では見えない部分を見るというよりも,肉眼でも観察可能な部分を更に拡大して,文字通り生体における病理組織学として観察の精度を細胞レベル迄上げる点に,その本質と意義とがあると考えられる1)。最近では細隙灯顕微鏡の観察の対象としては,結角膜,前房虹彩,水晶体のみならず,隅角,硝子体,眼底,更に最近では網膜剥離の病因に関係して鋸歯状縁に近い眼底周辺部に迄及んでいる2)3)。また,この器械は眼圧や角膜,前房,水晶体の厚さ等の計測にも用いられている4)。その所見を記録するための細隙灯顕微鏡撮影法については,多くの発表があり5)〜9),2,3の専門機器も市販されている。
 著者らは数年来,Haagstreit 900型細隙灯顕微鏡による所見の撮影記録の方法について検討して学会報告を行なつてきた10)。ここではこれらの経験を総括して,2,3の基礎的問題に検討を加えた結果につき報告する。

眼底カメラ分解能に対する一考察

著者: 平野東 ,   高橋俊仁

ページ範囲:P.2285 - P.2287

緒言
 国内において種々の眼底カメラが作られている。これらの性能のひとつである網膜における解像力について,以下に示す意味で比較検討を加える。目標は眼底カメラ撮影系の絶対分解能を測定する事であるが,光学系自体最終段階に目のレンズ系を含めて考えられている。このため測定に当たつては,目のレンズ系に対応するコリメーターレンズを用意しなければならない。即ちコリメーターレンズが対物レンズ群の一部であるから,分解能を個々の系の積として与える事ができない。次に分解能測定の方法には幾通りかあるが,ここでは格子標板を被験レンズを通して観測又は撮影を行ない,分解する最少ピッチの格子により表わす。このため照明,標板のコントラスト,感光材料の種類,露出,現像,定着条件,また判定の個人差等の諸条件により違つた値が得られる。
 以上の理由により国産六器種に対して相対的分解能をZeiss製品との比較を含めて検討する。測定は,ファインダー像を拡大鏡を通して直接判定する方法と,写真ネガフィルム面上に写した像を顕微鏡により判定する二通りの方法で行なう。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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