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特発性網膜剥離の予防をめざして
著者: 児島昭徳1
所属機関: 1京都コンタクトレンズ(朝日会館営業所)
ページ範囲:P.2261 - P.2265
文献購入ページに移動 特発性網膜剥離が近視眼に多いことは多くの統計が物語っており,又,その種の剥離に高頻度に合併することによりその前病変ではないかと考えられている網膜孔,格子状変性,あるいは硝子体網膜癒着による硝子体牽引などの網膜周辺部病変も同様近視眼に多いことが報告されている。一方網膜剥離に関する手術の発展は,Gonin以来のジアテルミーに加えMeyer-Schwickerathの光凝固,さらにはCryoretinopexyの再評価など,予防的にも治療的にもかなり確立された時代に入つた。そのような時にあたつて,特発性網膜剥離の予防に正面から取り組むべく宿命を負つているのは,胃癌における早期発見の努力と成果を例に引くまでもなく,他の国に比べて近視眼が異常に多いとされている我が国をおいて他にない。しかし,残念ながらそのような取り組みの具体例はいまだ報告なく,早期発見は幸運な偶然に頼つているのが実情であろう。剥離予防の為の,網膜孔段階での早期発見の重要性は一般に認められておりながら,現実には実行され難い原因として,一つには,医師全般の不足に基づく眼科専門医の絶対的不足が考えられるが,他に,早期発見に是非とも必要な正常眼底の日常的集団検診に関して,症状もないのに眼底まで調べるわけにはゆかないといつた保険医療上の制約や,手間のかかる眼底検査はとても集団検診の形では行なえないといつた,一種のあきらめがあるように思われる。
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