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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科25巻2号

1971年02月発行

文献概要

臨床実験

Fuchs'症候群(Heterochromic Cyclitis)の白内障水晶体における乳酸脱水素酵素アイソザイム

著者: 山中妙子1 亀山和子1 小林加世子1 小峰仙一2

所属機関: 1東京女子医科大学眼科学教室 2東京女子医科大学中検生化学

ページ範囲:P.171 - P.176

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緒言
 Heterochromic cyclitisは,虹彩異色,特有な慢性虹彩毛様体炎,白内障をTriasとする疾患で,古くから知られていたが,Fuchs1)が1906年にこの症状を詳細に記載して以来,Fuchs症候群と呼ばれるようになつた。ヨーロッパでは,今までに多くの報告がみられる2)〜7)。アメリカでもその症例が少なくないことはKimura8)らが,日本でもまれな疾患でないことは内田ら9)がのべている。
 その虹彩毛様体炎は特徴的で,まず一般の炎症性変化であるところの毛様充血がみられない。無痛性で,非常に慢性に経過する。虹彩異色,白内障は,これから二次的に起こつてくるものと思われるが,炎症の自覚症がないため,視力がなくなつてはじめて気づくのが普通である。角膜後面沈降物,前房の浮遊物,虹彩の萎縮も特有であり,虹彩癒着はまつたく生じないとされている。原因は不明であるが,一般の炎症(局所の感染,アレルギー等)よりも,むしろ,循環の異常10),血管自体の異常11)あるいは発生時の異常によつて生ずるstatusdysraphicus12)が考えられたりしている。自律神経系の異常に成因を置くものも13)ある。また,遺伝因子の存在を考え得る例14)もある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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