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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科25巻3号

1971年03月発行

文献概要

特別寄稿

日本における化膿性角膜潰瘍の発生と予防

著者: 中島章1

所属機関: 1順天堂大学医学部眼科

ページ範囲:P.251 - P.255

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はじめに
 戦後の薬剤の進歩は眼科に大きな変革を与えた。失明原因として重要であつた膿漏眼は,このところ20年わが国ではまつたく見られない。また,わが国での罹患率が高く,失明の重要な原因の一つであつたトラコーマも急激に減少して,若い眼科医は新鮮例の経験がないぐらいになつた。結核,梅毒についても同様である。桐沢教授らの抗生物質の眼科臨床への応用を中心とする幾多の業績は,眼科臨床への新しい薬剤導入の指針をわれわれに与え,眼科臨床に貢献するところ大であつた。
 一方,有効な抗生物質がいまだ見出されていないVirus (アデノビールス,ヘルペスなど)や真菌,原虫によつて起こる疾患,あるいはブドウ球菌,緑膿菌など常在に近い細菌によつて起こる感染などは,相変わらず眼科臨床での問題であるし,その他いまだに種々の理由で病因がつかめないが,感染症であろうと思われる一群の眼疾患もある。総じて宿主側の条件が問題であるようなものや,病源が常在するか,あるいは同定しにくい感染症が,いまだに眼科臨床でわれわれを悩ませているとみることができよう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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