文献詳細
文献概要
原著
創傷の縫合・接着材料等に対する眼組織の反応に関する実験的研究(第3報)—癒着防止材料に対する眼組織の反応
著者: 栗原佳子1
所属機関: 1東北大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.493 - P.499
文献購入ページに移動緒言
外科的手術にさいして止血の目的で,吸収性,非抗原性のゼラチンスポンジが1945年Correlらにより開発されてからこの方面での研究が進み,1950年には同じくCorrelによつて硬膜,胸膜などの膜様組織の欠損を充填保護し組織の癒着防止目的でゼラチンフィルムが考案された1)。著者の用いた眼科用ゼラチンフィルムの化学的性質は次のとおりである。1)ゼラチンフィルムは重合させた硬化ゼラチンであるため局方ゼラチンの平均分子量(20,000〜150,000)よりも大である。2)厚さは0.075mm,3)必須アミノ酸であるトリプトファンを含まない。4)水を吸つて膨潤し軟化する。5)抗原性がない。
従来このゼラチンフィルムを用い眼科的に使用した外国の報告はいくつかみられるが2)〜6)8),それらはいずれも部分的な記述にとどまり,眼部各組織に用いた総合的な報告はない。著者はこの点に鑑みこのゼラチンフィルム(Gelfilm,以下GFと略記)を家兎の前房,球結膜下,上直筋下,硝子体内に用い,その肉眼的ならびに組織学的検索を行ない,眼科領域での臨床的応用の可能性について検討を加えた。
外科的手術にさいして止血の目的で,吸収性,非抗原性のゼラチンスポンジが1945年Correlらにより開発されてからこの方面での研究が進み,1950年には同じくCorrelによつて硬膜,胸膜などの膜様組織の欠損を充填保護し組織の癒着防止目的でゼラチンフィルムが考案された1)。著者の用いた眼科用ゼラチンフィルムの化学的性質は次のとおりである。1)ゼラチンフィルムは重合させた硬化ゼラチンであるため局方ゼラチンの平均分子量(20,000〜150,000)よりも大である。2)厚さは0.075mm,3)必須アミノ酸であるトリプトファンを含まない。4)水を吸つて膨潤し軟化する。5)抗原性がない。
従来このゼラチンフィルムを用い眼科的に使用した外国の報告はいくつかみられるが2)〜6)8),それらはいずれも部分的な記述にとどまり,眼部各組織に用いた総合的な報告はない。著者はこの点に鑑みこのゼラチンフィルム(Gelfilm,以下GFと略記)を家兎の前房,球結膜下,上直筋下,硝子体内に用い,その肉眼的ならびに組織学的検索を行ない,眼科領域での臨床的応用の可能性について検討を加えた。
掲載誌情報