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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科25巻3号

1971年03月発行

文献概要

原著

ERG電極に関する考察—特に律動様小波に関して

著者: 佐藤裕也1

所属機関: 1東北大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.743 - P.760

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〔第1篇〕電極の差による波形差
緒言
 網膜に電気現象の存在することが発見されたのはかなり古く,静止電位の発見はDu-Bois Rey—mond (1849)により,また光刺激による活動電位の発現はHolmgren (1865)の報告をもつてその最初とされている1)。人眼では,Dewar(1877)がこの現象を確認した。当時の誘導法は,銀=塩化銀電極に木綿糸をまきつけリンゲル液に浸したものの先端を角膜にふれさせるやり方であつたため,被検者の瞬目や眼球の動きによつて容易にはずれ実用性に乏しく,人眼のERG研究はかなり困難であつた2)。しかしRiggs(1941)3),Karpe (1945)4)らによる強角膜コンタクトレンズ電極の考案で事情は一変し,高性能の増幅器の出現とあいまつて人眼ERGの記録は比較的容易となり研究は急速の進歩をとげることとなつた。
 ERGの波形分析がはじめて本格的に行なわれたのはGranit5)によつてであつた。その後本川,三田らはX波を発見し6)(Adrianの追試によつて確認7)),Armingtonら8)はa波がある条件のもとでは二峰性に分かれることを見出した。また,強度の光刺激を使用した場合,人眼ERGにおいてb波の上行脚に一致して多峰性の小波が出現することをCobb, Morton (1953)が最初に報告した9)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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