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原著
未熟児網膜症の検索
著者: 佐々木一之1 山下由紀子1 安達寿夫2 舟木憲一2 畠山義徳2
所属機関: 1東北大学医学部眼科学教室 2東北大学医学部産婦人科学教室
ページ範囲:P.813 - P.818
文献購入ページに移動1942年Terry1)が報告したRetrolental Fibro—plasiaは,その名のごとく,水晶体後方に膜状新生物を生じて失明に至る重篤な疾患であるが,その後の研究により本症のはじまりは網膜にあることがわかつた。すなわち,未熟児に発生する未熟児網膜症(Retinopathy of Prematurity)が進展して硝子体にまでその病変が及んだ重篤なものが,後水晶体線維増殖症として報告されたのである。この二つの病名を全く同意義に用いている文献もあるが,実際は,未熟児網膜症のうち軽度のものは網膜にのみとどまり,後水晶体線維増殖症にはならない。
本症は,Owens2)の分類によれば,その経過に従つて活動期は5期に分けられている。すなわち,1期(血管期),2期(網膜期),3期(初期増殖期),4期(中等度増殖期),5期(高度増殖期)であるが,活動期が消退すると,眼内に瘢痕を残し,その瘢痕像も次のごとく五つに分けられている。Ⅰ度(小変化),Ⅱ度(乳頭牽引),Ⅲ度(網膜皺襞),Ⅳ度(不完全後水晶体組織塊),Ⅴ度(完全後水晶体組織塊)。
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