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原著
弱視に関する研究(第2報)—新生児網膜出血と弱視発生の因果関係に関する調査成績
著者: 佐々木徹郎1
所属機関: 1東北大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.819 - P.825
文献購入ページに移動緒言
弱視の発生原因に関してはなお不明な点が多く残されているが,その器質的因子の一つとして注目される問題に,新生児網膜出血という現象があり,Von Noordenらは器質的弱視の重要因子としてこの新生児網膜出血をあげている。すなわち,出生時に加えられる外力によつて発生した網膜出血が一定期間存続し,もし後日に痕跡をとどめぬまでに吸収されたとしても,他覚的所見を伴わない型の視力低下を残すがごとき場合は観念的には容易に想像できるのである。しかるに,この問題に関する臨床上の具体的な観察は,欧米でもわずかにNaumhof (1890), Jacobs (1924)およびKaufmann (1958)の報告が見られるだけであり,本邦ではいまだ皆無である。
このたび著者は,新生児網膜出血と弱視発生の因果関係を解明する目的のもとに,かつて出産時に眼底検査を受けたことのある一群の児童について,就学時に視力,眼位等に関する検索を行ない,この因果関係を否定し得る結果を得たのでここに報告する。
弱視の発生原因に関してはなお不明な点が多く残されているが,その器質的因子の一つとして注目される問題に,新生児網膜出血という現象があり,Von Noordenらは器質的弱視の重要因子としてこの新生児網膜出血をあげている。すなわち,出生時に加えられる外力によつて発生した網膜出血が一定期間存続し,もし後日に痕跡をとどめぬまでに吸収されたとしても,他覚的所見を伴わない型の視力低下を残すがごとき場合は観念的には容易に想像できるのである。しかるに,この問題に関する臨床上の具体的な観察は,欧米でもわずかにNaumhof (1890), Jacobs (1924)およびKaufmann (1958)の報告が見られるだけであり,本邦ではいまだ皆無である。
このたび著者は,新生児網膜出血と弱視発生の因果関係を解明する目的のもとに,かつて出産時に眼底検査を受けたことのある一群の児童について,就学時に視力,眼位等に関する検索を行ない,この因果関係を否定し得る結果を得たのでここに報告する。
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