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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科25巻6号

1971年06月発行

雑誌目次

特集 第24回日本臨床眼科学会講演集 (その3)

網膜静脈血栓症の光凝固療法

著者: 清水弘一 ,   戸張幾生

ページ範囲:P.1529 - P.1537

緒言
 成人における突発性の視力障害の原因としておそれられている眼底出血は,その大半が網膜中心静脈の本幹または分技の閉塞症によるものであるとみなされる。本症での出血は,他の原因による眼底出血の場合と比較して,一旦発症すると,出血が吸収されるまでにかなり長期間を必要とし,若干の例外を除き,ふつう半年以上,ときとして数年に亘る経過をとるものであることも周知の事実である。
 われわれは,本症に対する螢光造影所見から,本症でなぜ出血の吸収が遅延するかを説明する特徴的な知見を得,さらに,この知見を手がかりに,本症に対してわれわれが開発した方法による光凝固治療を実施した。当初の18例についてのわれわれの経験はきわめて満足できるものであり,網膜中心静脈の本幹または分枝血栓症に対する新しい有効な治療法を発見できたと考える。以下にその概要を示し,諸家の批判を仰ぎたい。

学会原著

サルコイド性ぶどう膜炎の臨床

著者: 宇山昌延

ページ範囲:P.1513 - P.1522

はじめに
 サルコイドージスで,眼にいろんな障害があらわれ,多彩な眼所見を示すことは,つとに関心の払われているところである。また,わが国においても,サルコイドージスが,かなり多いことがわかつてきた20)23)。このようにして,わが国眼科からも,サルコイドージスの眼症状について最近報告が多く,なかでも東京大学(鹿野,大場7)〜9)と東北大学(桐沢,山田ら11)〜14))からは,多数症例のまとまつた検索成績が報告されている。これらの報告によつて,眼サルコイドージスのおよその姿は明らかにされているのであるが,これらの報告は,全身性サルコイドージスの部分症状としてあらわれる眼所見を論ずる立場に力点がおかれ,われわれ眼科医の最大関心事である視力障害をもたらす眼疾患として本症を把握することが少しく乏しいように思われる。著者は,数年来,われわれのブドウ膜炎専門外来においてブドウ膜炎患者の検索に当つているが,眼サルコイドージスではブドウ膜炎の発生頻度がきわめて多く,しかもサルコイドージスによるブドゥ膜炎は全ブドウ膜炎中でも頻度がもつとも高いこと,さらに眼サルコイドージスで視力障害をきたすのはブドウ膜炎によるものであることがわかつた。かつ,これらサルコイドージスによるブドウ膜炎患者は,われわれの外来へ受診するまでは,ほとんどの症例において,原因についての診断が確定していなかつた。

網膜剥離の臨床(その2)重症網膜剥離の治療法—Schepensのシリコン埋没並びに緊縛法と硝子体内人工房水注入法

著者: 清水昊幸 ,   戸張幾生

ページ範囲:P.1523 - P.1527

緒言
 著者は先に網膜剥離を治療法との関連に於て分類することを提唱した。それは「24〜48時間絶対安静後の"残存網膜下液"」の量により,網膜剥離を5段階に分け,その各階級毎に適応手術法を選択すべきであるとするものである1)。すなわち第1度の網膜剥離は残存網膜下液が全くないもので光凝固の適応である。第2度の剥離とは残存網膜下液が硝子体容積の2〜3%まででジアテルミー穿刺凝固の適応となる。第3度剥離は残存網膜下液が10%程度までで強膜短縮術の適応であり,第4度剥離は10%以上でSchepensのシリコン埋没並びに緊縛法が適応となる。第5度は綱膜下液が更に多量(硝子体容積の1/4或いはそれ以上)で,スケペンス法と共に硝子体内人工房水注入が必要なものである。ここに重症網膜剥離というのは第4度及び第5度の剥離を指して言い,こうした症例に有効なSchepensのシリコン埋没並びに緊縛法と,硝子体内人工房水注入法の術式を簡単に説明し,同時に若干の症例を紹介するのが,この報告の目的である。

眼窩腫瘍摘出のための新しい手術法(Fronto-zygomatic Approach)について

著者: 戸塚清 ,   桑原武夫 ,   三宅浩之

ページ範囲:P.1539 - P.1540

 私どもが眼科を志してから現在に至るまでの経験では,クレーンラインの手術法は,これを実施してみると,手術野が狭いために,病野の全貌を覗うのに不十分で,手術を進めてゆく上に,隔靴掻痒の感があることが多かった。そこで昨年ごろから,脳神経外科,眼科が協力して,この不便さを打開すべく努力してみた。
 この方法は,まず皮膚切開は,前頭の生え際に平行して行ない,横の方は頬骨弓の高さに及ぶ。皮膚弁を剥離,反転後,前頭骨弁を骨形成的に反転し,つぎに眼窩上壁の前半部を取り去り,ついで眼窩縁の骨を一体として取り除く。このさい,内側は眼窩縁の骨をできるだけ眼窩内壁の近くまで,しかし滑車を損傷しないように注意しながら切断し,また下方は下眼窩裂に線鋸を通して大体頬骨弓上縁の高さで切断する。

インターフェロンによる流行性角結膜炎の治療,及び予防への試み

著者: 根来良夫 ,   古賀旭 ,   岸田綱太郎

ページ範囲:P.1541 - P.1544

はじめに
 流行性角結膜炎は伝染力が強く,院内感染や家族内感染が多いところから,我々臨床医にとつてやつかいな眼疾患である。又,近年公害による環境汚染のため,夏期はプールを利用する機会が多くなり,それにつれてプール性結膜炎も増加の傾向にある。そこで,私達は今回ウイルス抑制因子,即ちインターフェロン(IF)を使用することによつて,本疾患の治療及び予防が可能かどうか試みる機会をえたので,その結果を報告する。

臨床トノグラフィーの検討

著者: 東郁郎 ,   田村泰臣

ページ範囲:P.1545 - P.1558

緒言
 緑内障診断において眼圧調整機能障害を認知する上で,臨床トノグラフィーは重要な役割を果している。Moses, R. A.&Bruno, M.(1950)およびGrant, M.(1950)がトノグラフィーの概念を導入し,Grant原法が臨床に応用されてから数多くの研究者によってその信頼度,問題点が列挙され,また改良を目差す種々の方法が提起された。換算表に関しては1955年眼圧NomogramがFriedenwald, J. S.によって確立されたものを現在では国際的に採用し統一されているが,実施方法や解析法については今なお評価が定まっていないと思われる。
 従って本論文においては先ず正常眼と緑内障眼の多数例について,Grant原法と比較してトノグラフィー施行時間,rigidity補正,圧補正の点を詳細に解析し,緑内障診断の上での意義を評価することを試みた。

Pigmentary glaucomaについて

著者: 岩田和雄 ,   森平幸雄 ,   難波克彦

ページ範囲:P.1559 - P.1565

緒言
 Sugarが本症を一つのclinicopathologicalentityとみなし,色素性緑内障pigmentaryglaucomaと命名して以来約30年を経過した。現在までに欧米では約150例の報告があり,眼科専門医ならば通常本症の1〜2例を経験しているといわれる。わが国では興味をもつて探索されているにも拘わらず,例数はきわめて少なく,現在までに報告されたものはわずか2例にすぎない。
 私共はここ数年間に本症の2例を経験した。1例は前眼部の先天異常を伴い,両例とも高度のステロイドレスポンスを示す他2〜3の特徴が認められた。

螢光眼底撮影で診断できた脈絡膜腫瘍

著者: 渡辺千舟 ,   神部純二

ページ範囲:P.1567 - P.1573

緒言
 眼内腫瘍は,しぼしば単なる網膜剥離,続発性緑内障等,他の疾患として取り扱われたり,また,眼球摘出後に,はじめて悪性腫瘍ではないことが判明した例が報告されているように,検眼鏡所見のみで診断するのは慎しむべきであると考えられる。
 眼内腫瘍のうち,脈絡膜に原発するものは,一般に色素に富み,黒色ないし,黒褐色を呈するのが常と考えられがちで,網膜下に隆起した病巣が帯黄白色を示している場合に,これを腫瘍と診断することは困難である。

螢光眼底映画撮影機の試作

著者: 神谷貞義 ,   西岡啓介 ,   西信元嗣 ,   新井達朗 ,   峯克彰 ,   加藤圭子

ページ範囲:P.1575 - P.1577

緒言
 従来,Suvanto (1960), Hart, L. M. (1963),Linhart, J. M.(1964), Peter. Oberhoff (1965),我国では藤沢(1969)等が螢光眼底撮影装置を使用し,網膜循環動態を詳細に観察しているが,今回私達は,トプコン眼底カメラを改良し,螢光眼底映画撮影機を試作したので報告する。

交感性眼炎—螢光像と電顕所見との対比研究

著者: 瀬川雄三 ,   松岡紀夫

ページ範囲:P.1579 - P.1584

緒言
 螢光眼底撮影法が,一般的な臨床検査法の手段として広く使用される様になつて以来,眼底疾患について数多くの新知見が得られている。所が,病的眼の摘出が困難であるため,異常螢光所見についての解釈は,多くの場合,憶測にとどまつているのが現状である。
 今回,交感性眼炎の1症例の被交感眼の螢光眼底撮影並びに起交感眼の電顕的観察を行ない,両者を対比研究し,2,3の知見を得たのでここに報告する。

改良型無赤色光拡大眼底撮影による所見

著者: 小沢勝子 ,   伊藤寿夏 ,   水野勝義

ページ範囲:P.1585 - P.1592

緒言
 我々1)〜3)は既に無赤色光眼底撮影法により,網膜の神経線維,血管の微細な変化を撮影可能にした。今回更に拡大倍率の高い改良型無赤色光拡大眼底カメラを試作した。正常者,初期網膜動脈硬化症,Prediabetes,糖尿病患者において検眼鏡的には従来見逃されていた所見を得たので報告する。

Dysthyroid Ophthalmopathyにおける高眼圧について

著者: 井上洋一 ,   井上トヨ子

ページ範囲:P.1593 - P.1600

緒言
 1901年,Braileyが甲状腺疾患に緑内障が合併する事が多いと報告して以来,甲状腺機能と眼圧の問題については数多くの論文がみられるにも拘わらず定説がない1)〜3)。動物を甲状腺剤で飼育すれば眼圧が下降し,逆に甲状腺を摘出すれば眼圧が上昇する事,臨床的にもバセドー病は眼圧が低く,粘液水腫は眼圧が高い等のHeltelの報告3)などから,一般に機能亢進は眼圧を下降せしめ,機能減退は眼圧を上昇せしめると考えている学者が多い。勿論,バセドー病にも眼圧の高いものと低いものがあると主張して,反対する学者のいる事はいうまでもない。
 近年欧米では,バセドー病臨床の発展と緑内障診断法の進歩から,この異常眼圧が再び注目されて研究がすすめられている。しかしながら,眼硬性を中心にしたWeekers4)らの研究もdysthy—roid ophthalmopathyとしての眼局所の特異性に考慮が払われていなかつたために,書き改めざるを得ない結果となり,現在にいたっても明確な結論が得られていない。

1964〜1965年の大流行に先立ち1956〜1957年に沖繩地方に発生した先天性風疹症候群に関する調査—とくにその視機能について

著者: 大島健司 ,   加納正昭 ,   生井浩 ,   植田浩司 ,   吉沢僖章 ,   武末正義 ,   西田之昭

ページ範囲:P.1601 - P.1609

緒言
 風疹は元来急性伝染病として知られているが,妊娠中の母体が感染すると,しばしば胎児に風疹ウイルスの持続的感染をきたし,その結果生まれてくる子供に種々の先天異常を起こす。これを先天性風疹症候群と称し,とくに白内障,難聴,心疾患等の症状がもつともよく知られている1)。この先天性風疹症候群の発生は我国においては極めて稀とされていたが,その理由の一つとしてretrospectiveな診断が困難である事があげられる。先天性風疹症候群の臨床症状が多彩であるため,臨床各科,とくに眼科,小児科,耳鼻科の協力が必要であるが,またその代表的な症状である白内障,難聴,心疾患などの先天異常の原因となるものは数多く,風疹はその原因のわずかに一部であるにすぎず,これらの個々の症状が存在するだけでは診断がつけられない。更に実験室的診断(laboratory diagnosis)であるウイルス分離が,もし可能であれば確実ではあるが,生後1年以上経過するとウイルス分離の可能性が殆んどなくなる。中和坑体試験や血球凝集阻止反応にしても生後数年以上経過すると,先天感染か後天感染かを区別することが困難である。
 私達は1965〜1966年に沖縄において多発した先天性風疹症候群について,母体の風疹罹患の有無,各臨床症状間の関連性と血球凝集阻止反応(以下HI)の関係を調査し,一応retrospecti—veな臨床診断基準を定める事ができた2)

Fluorescein静注の及ぼす影響の組織学的研究—特に血管と肝臓に及ぼす影響

著者: 山口訓子

ページ範囲:P.1611 - P.1625

緒言
 1882年Ehrlich1)によつて,初めて家兎に於てFluorescein (以後Fluoと略す)静注が用いられて以来現在に至る迄,Fluo sodium水溶液の静注は色々な眼科的診断に利用されている。特に最近の眼底疾患の診断に重要な役割を果している螢光眼底撮影に於ては,Fluo静注は今日欠く事の出来ないものとなつており,又この静注では一過性の悪心嘔吐,眩暈以外に臨床的副作用がほとんど発生しない点で珍重されてきた。しかしながら近年Scott2)等(1963)やJustice及びSever3)(1965)他によつてFluoショックの報告がなされ注目されている。Fluo静注後の眼組織とりわけ血液一房水柵や網膜脈絡膜組織についての報告はいくつか見られるが,全,身の生体組織に及ぼす影響についてはほとんど報告されていない。そこでFluo静注の生体組織に及ぼす影響を家兎に於て特に全身の主要血管,肝臓について病理組織学的に検索したのでここに報告する。

慢性後部毛様体炎の3例

著者: 北原健二 ,   清水春一 ,   向後富次男 ,   関本俊男 ,   小鹿倉庸子 ,   鈴木羊三

ページ範囲:P.1627 - P.1633

緒言
 慢性後部毛様体炎Chronic Posterior Cyclitis(Duke-Elder)1)は,Peripheral Uveitisとして1950年Schepens2)によりはじめて記載された。その後Brockhurst-Schepens-Okamura3)4)により症例が追加され,その症状,合併症,鑑別診断,病理,病因,治療にわたり詳細に報告された。その間,欧米に於ては諸氏により多数報告及び検討がなされた。本邦では昭和38年(1963)浦山5)が,周辺性ブドウ膜炎として述べているが,その報告例は非常に少ない。
 最近我々はこれ等の定型的な経過を示した3例を経験し,特に螢光眼底所見と組織学的所見について知見を得たので報告する。

第24回日本臨床眼科学会 Group Discussion

神経眼科

ページ範囲:P.1667 - P.1674

 10月24日第24回臨眼に先んじて,恒例のグループディスカッションが(19分科に分れて)主として国立教育会館に於て行なわれたが,私共の御世話した第8回,神経眼科グループディスカッションは,本年は演題が34題集まり,午前9:00開会,夕刻5:30迄,昼休み1時間を除いて時間一杯の発表と討論に火花を散らし,甚だ活況を呈した。
 殊に午後2:30よりは,ここ数年問題となりつつあつた有機燐中毒に関して,特に「農薬中毒シンポジウム」として,石川哲氏(東大)をはじめ,農林省家畜衛生試験場本間惣太氏,東大内科宇尾野公義氏等の講演を加えて,十余題の講演があつた。

弱視・斜視

ページ範囲:P.1675 - P.1678

1.特殊赤色コンタクトレンズの使用経験
佐野充(東京都)
 赤色コンタクトレンズに改良を加え,コダックフィルターとの比較を,光波長計および暗順応計を用いて試みた。その結果,両者の間にほぼ同様の値が得られたので,赤色コンタクトレンズとコダックフィルターは,いずれも黄斑部を刺激する透光光線を得るということになると考えた。
 この赤色コンタクトレンズを約20名の患者に装用させた結果,装用後2カ月で固視の改善および視力の増進がみられ,それに伴い融像域の拡大および抑制の改善にもみるべきものがあつた。

白内障

ページ範囲:P.1679 - P.1685

1.先天性白内障の術後遠隔成績
○青木昭彦・太田黒栞(久留米大)
 先天性白内障の術後遠隔成績を調べるため1959年1月から1965年12月迄の満7年間に久留米大学眼科にて入院手術を行なつた先天性白内障患者16名に,ハガキ連絡を行ない,来院受診した7名10眼について,比較検討して見た。層間白内障3眼,中心白内障4眼,全白内障3眼であつた。合併症としては,眼球振盪症2例,内斜視1例,小眼球1例,脳性小児麻痺が1例であつた。手術時の年齢を4歳で二分してみると,4歳未満で手術を受けたものは4例6眼で,0.2以上の視力が出ているものは6眼中1眼で,4歳以上で手術を行なつたものは,4眼とも全例0.2以上の視力を得ている。例数が少ないので明確なことはいえないが,中心白内障や層間白内障の軽度なものは,4歳以上になつて手術を行なつても,術後視力回復を見る。手術方法としては吸引術が良く,又退院時虹彩後癒着がなくても,後に後癒着を起こした例が多く,長期間の散瞳剤の使用を必要とする。Elschnigbodyを2例認め,全例とも後発白内障が増加しているので,少なくとも5年後には再検し,良い視力を得る様に配慮すべきである。
 須田1)ニスタグムスのある先天白内障で術後視力が0.1以上出ると,ときにニスタグムスが消失することがある。演者の場合は? 2)アトロピンを点眼しても散瞳しにくい例があるがそのときの術式は。3)術直後にアトロピンを点眼するか。

連載 眼科図譜・164

Noonan症候群の1例

著者: 青木功喜 ,   藤岡憲三 ,   大宜見義夫

ページ範囲:P.1509 - P.1510

〔解説〕
 1938年Turnerは,成人女性にsexual in—fantilism, webbed neck及びcubitus valgusの諸性状を有する一症候群を発表,以後この症候群は女性のみと考えられていたが,1943年このSyndromeが男性に認められる事がFlavallによって指摘されてから,male-Turner synd—rome或はNoonan syndromeと呼ばれる様になる。この症候群の独立性は依然論争の多いところであるが,和田,梶井等によればその相違は下に示す如くいわれている。
 自験例は上の如き考えからすればNoonan症候群である。特異な顔貌としてはptosis (left)hyperterolism, anti-mongoloid slant, epican—thus, low set earが,眼球自体ではcon—genital cataracta, persistent pupillary memb—rane, hyperopiaが認められTurner synd—romeによくみられるsquint, blue sclera, cor—neal nebulaeはこの症例では欠いている。

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第25回日本臨床眼科学会の開催ならびに演題募集のお知らせ

ページ範囲:P.1638 - P.1639

 第25回日本臨床眼科学会を下記のごとく開催いたしますので,ご演題を賜わり,奮つてご参会のほどをおねがい申しあげます。

本川弘一学長を悼む

著者: 桐沢長徳

ページ範囲:P.1642 - P.1644

 今年2月3日,東北大学本川弘一学長が逝去されたが,誠に痛惜にたえない。先生は私より2級上のクラスであつたため,学生時代には知己を得なかつたが,卒業数年後の頃,東大生理学教室におられた時に,昭和青年医師会(名称は正確ではない)の結成について私の部屋に来られ,色々と話合つたのが最初のおつきあいであつた。
 その後,東北大生理学教授として赴任されてから,視覚に関するすばらしい業績を次々と発表され,私は先生のご活躍に心からの敬意を払つていた。昭和30年,図らずも私自身も東北大学に赴任することになり,先生と親しくおつきあいするようになつてから,先生の偉大さがいよいよ身近く感ぜられるようになり,学内のこと,研究上のことなどで時々ご意見を伺いに参上したものである。先生は何時も気取らぬ態度で,何ごとも真底から気持を打ちあけて私の問いに答えて下さつたもので,一見気むずかしそうに見えて,しかもその裏に暖かいやさしさがほのぼのと感じられるようなお人柄であつた。

臨床験実

Vistamycinの眼科的応用

著者: 三国政吉 ,   大石正夫 ,   周田茂雄 ,   今井正雄 ,   高橋篁子 ,   滝沢元

ページ範囲:P.1645 - P.1651

緒言
 Vistamycin (VSM)は,1967年Streptomy—ces ribosidificusから分離,生産された新しいアミノ配糖体坑生剤である。明治製菓株式会社において研究開発されたもので,neamineの5位にD-riboseの結合した化学構造を有する。
 本剤はグラム陽性菌ならびに陰性菌に対して広い抗菌スペクトルを有し,筋注により高い血中濃度が得られ,生体内で代謝をうけずに尿中によく排泄される。

ルビーレーザー光凝固時の網膜電位の変化について

著者: 野寄達司 ,   ,   J.Campbell ,  

ページ範囲:P.1653 - P.1656

緒言
 ルビーレーザーはこの数年間に種々の病変,とくに網膜疾患の治療に広く利用されてきた。これらの臨床的応用を可能にした基礎的研究については,すでに多くの報告があり,とくにルビーレーザー光凝固の病理組織学的1)2),生化学的3)または熱学的研究4)については詳述されているが,網膜局所の活動電位については未だ発表されていない。著者等はマイクロエレクトロードを網膜内神経節細胞に直接挿入して電位の変化を記録し,光凝固前後の機能的変化を他覚的に観察することができた。この結果凝固反応の強弱と機能的変化とは平行しないことが判明したので報告する。

腎不全に合併した角膜カルシウム沈着

著者: 堀内二彦

ページ範囲:P.1657 - P.1659

緒言
 腎不全に見られた角膜カルシウム沈着の症例に関して,愚者の協力を得て,従来あまり報告をみなかつた組織学的検索を行ない,Red eyeおよびBand Keratopathyについて,若干考察する機会を得たので,ここに報告する。

Behçet病治療法の検討—(その4)ステロイドホルモン使用の現況

著者: 青木功喜 ,   藤岡憲三

ページ範囲:P.1661 - P.1665

緒言
 未知の原因で発症し遷延化していくBehçet病に,ステロイドホルモンが有効に働くという事は臨床的によく経験する事実である。しかしこのホルモンが一般化するにつれて,新しい問題をみている。Behçet病とステロイドホルモンの問題については,氏原1),徳田2)が報告を行なつているが,我々は従来報告しているBehçet病治療法の検討3)〜5)の一つとして,ステロイドホルモンを取上げて,2,3の問題に検討を加えたので,その結果を報告し諸家の御批判を受けたい。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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