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特集 第24回日本臨床眼科学会講演集 (その3)
網膜静脈血栓症の光凝固療法
著者: 清水弘一1 戸張幾生1
所属機関: 1東京大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1529 - P.1537
文献購入ページに移動緒言
成人における突発性の視力障害の原因としておそれられている眼底出血は,その大半が網膜中心静脈の本幹または分技の閉塞症によるものであるとみなされる。本症での出血は,他の原因による眼底出血の場合と比較して,一旦発症すると,出血が吸収されるまでにかなり長期間を必要とし,若干の例外を除き,ふつう半年以上,ときとして数年に亘る経過をとるものであることも周知の事実である。
われわれは,本症に対する螢光造影所見から,本症でなぜ出血の吸収が遅延するかを説明する特徴的な知見を得,さらに,この知見を手がかりに,本症に対してわれわれが開発した方法による光凝固治療を実施した。当初の18例についてのわれわれの経験はきわめて満足できるものであり,網膜中心静脈の本幹または分枝血栓症に対する新しい有効な治療法を発見できたと考える。以下にその概要を示し,諸家の批判を仰ぎたい。
成人における突発性の視力障害の原因としておそれられている眼底出血は,その大半が網膜中心静脈の本幹または分技の閉塞症によるものであるとみなされる。本症での出血は,他の原因による眼底出血の場合と比較して,一旦発症すると,出血が吸収されるまでにかなり長期間を必要とし,若干の例外を除き,ふつう半年以上,ときとして数年に亘る経過をとるものであることも周知の事実である。
われわれは,本症に対する螢光造影所見から,本症でなぜ出血の吸収が遅延するかを説明する特徴的な知見を得,さらに,この知見を手がかりに,本症に対してわれわれが開発した方法による光凝固治療を実施した。当初の18例についてのわれわれの経験はきわめて満足できるものであり,網膜中心静脈の本幹または分枝血栓症に対する新しい有効な治療法を発見できたと考える。以下にその概要を示し,諸家の批判を仰ぎたい。
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