icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科25巻6号

1971年06月発行

文献概要

特集 第24回日本臨床眼科学会講演集 (その3) 学会原著

1964〜1965年の大流行に先立ち1956〜1957年に沖繩地方に発生した先天性風疹症候群に関する調査—とくにその視機能について

著者: 大島健司1 加納正昭1 生井浩1 植田浩司2 吉沢僖章3 武末正義4 西田之昭5

所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2九州大学医学部小児科学教室 3九州厚生年金病院小児科 4国立福岡中央病院耳鼻咽喉科 5浜の町病院耳鼻咽喉科

ページ範囲:P.1601 - P.1609

文献購入ページに移動
緒言
 風疹は元来急性伝染病として知られているが,妊娠中の母体が感染すると,しばしば胎児に風疹ウイルスの持続的感染をきたし,その結果生まれてくる子供に種々の先天異常を起こす。これを先天性風疹症候群と称し,とくに白内障,難聴,心疾患等の症状がもつともよく知られている1)。この先天性風疹症候群の発生は我国においては極めて稀とされていたが,その理由の一つとしてretrospectiveな診断が困難である事があげられる。先天性風疹症候群の臨床症状が多彩であるため,臨床各科,とくに眼科,小児科,耳鼻科の協力が必要であるが,またその代表的な症状である白内障,難聴,心疾患などの先天異常の原因となるものは数多く,風疹はその原因のわずかに一部であるにすぎず,これらの個々の症状が存在するだけでは診断がつけられない。更に実験室的診断(laboratory diagnosis)であるウイルス分離が,もし可能であれば確実ではあるが,生後1年以上経過するとウイルス分離の可能性が殆んどなくなる。中和坑体試験や血球凝集阻止反応にしても生後数年以上経過すると,先天感染か後天感染かを区別することが困難である。
 私達は1965〜1966年に沖縄において多発した先天性風疹症候群について,母体の風疹罹患の有無,各臨床症状間の関連性と血球凝集阻止反応(以下HI)の関係を調査し,一応retrospecti—veな臨床診断基準を定める事ができた2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?