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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科25巻8号

1971年08月発行

文献概要

臨床実験

白内障水晶体の乳酸脱水素酵素アイソザイムについて

著者: 亀山和子1

所属機関: 1東京女子医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1853 - P.1858

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緒言
 Markert Møller1)が1959年に,生体内である反応を触媒する酵素が,蛋白分子構造の上から物理化学的諸性状を異にする一群の酵素群から成る場合があることを指摘して,酵素化学の分野にアイソザイムの概念を導入した。それ以来,多くの動物臓器にアイソザイムが多数見出され,アイソザイムの解析は生化学の領域のみならず臨床医学2)の分野にもその応用が試みられ,診断や予後の判定に重要な役割を演ずるようになつた。
 アイソザイムの存在が明らかにされてから,最もよく研究されたのは,乳酸脱水素酵素(LDH)であり,酵素化学的にはLDHは二つの異なるsubunit (monomer)から成り,分子的ハイブリットによりtetramerを形成することにより5種のアイソザイムが存在し,それぞれLDH1,LDH2,LDH3,LDH4,LDH5と名付けられている。各subunitのペプチド鎖は,それぞれDNAから異なつた遺伝的支配を受けて生合成されているものであり,Shaw Barto3)はシロアシマウス(peromyscus maniculatus)のLDHアイソザイムパターンに遺伝的変異のあることに気付き,ポリペプチド鎖の形成が常染色体の遺伝子で支配され,メンデル型遺伝を示すことを推定した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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