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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科25巻8号

1971年08月発行

文献概要

臨床実験

角膜真菌症の診断と治療

著者: 菅謙治1 永田誠1

所属機関: 1天理よろず相談所病院眼科

ページ範囲:P.1859 - P.1866

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緒言
 真菌は土壌や空気中に存在し,又動植物に寄生して存在する。人間では皮膚,気管,食道などに常住し,Mitsui1)によると健康者の結膜嚢の18%に真菌が存在する。健康体においては細菌と真菌が一定の平衡を保つて共棲し,真菌には病原性がない。しかしある条件下では,この真菌が病原性をもつようになる。ある条件とは真菌の増加2)と生体の組織抵抗の低下とである。近年に至つて真菌症が増加しているが,これは抗生物質と副腎皮質ホルモンの使用が原因で,角膜真菌症に関しても,Roberts3),Pannarale4),Anderson5)等は抗生物質の使用によつて菌交代現象をきたして真菌が増殖し,Anderson5)Ley6),Hirose7),Montana8),等は副腎皮質ホルモンの局所使用によつて組織抵抗が減弱し,各々,真菌の角膜感染を惹起すると指摘している。
 真菌の眼感染としては,角膜真菌症をはじめ眼瞼炎,涙小管炎,涙嚢炎,脈絡膜炎,乳頭炎等が報告されているが,角膜真菌症は,1879年にLeber9)が1例を報告したのに始まつて,多数の報告があり,本邦においても1910年の槇10)の報告以来,約30例の報告がある。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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