文献詳細
臨床実験
眼窩に発生した骨の好酸球性肉芽腫の1症例
著者: 大西克尚1 平島直子2
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室 2九州大学医学部耳鼻咽喉科学教室
ページ範囲:P.19 - P.22
文献概要
Eosinophilic granuloma of bone (骨の好酸球性肉芽腫)は,細網内皮細胞の増殖を基盤とし,多数の好酸球の浸潤を伴つた特徴のある組織像を示す比較的まれな疾患であり,1940年Lich—tensteinら1),Otaniら2)により命名されたものである。さらにその後Lichtenstein3)(1953)はeosinophilic granuloma of bone, Hand-Schüller-Christian病,Letterer-Siwe病の3者は病理学的には細網内皮系の疾患という点で一致しており,これらは同一基礎疾患の異なつた臨床病型であると述べ,一括してHistiocytosis Xと総称することを提唱した。
私達は,左側の眼瞼腫脹を主訴とした患者のレントゲン像より,eosinophilic granulomaの存在を疑つたが,病理組織学的にもそれが証明され,腫瘤摘出後にはステロイド療法を行なつて好結果を得た1症例を経験したので報告する。
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