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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科26巻11号

1972年11月発行

文献概要

臨床実験

外直筋麻痺に対する筋移植後,合併症を起こした2症例

著者: 長谷川一郎1 相沢芙束1

所属機関: 1札幌医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1321 - P.1328

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緒言
 1907年にHummelscheim1)が外直筋麻痺に対し,上下直筋の外側1/3を麻痺筋付着部の上下へ移植する方法を提唱して以来,麻痺性斜視に対する筋移植術は多数行なわれてきている。本邦においても,中島実氏2),須田経宇氏3)らの報告があり,1965年には,近藤正彦氏4)の35例の報告がある。国内,国外を通じて,最も報告の多い麻痺は外直筋麻痺の症例で,手術法は内直筋の後転,外直筋の短縮とともに上下直筋の移植という4直筋を同時に操作する方法が最も多く行なわれている。しかし,4直筋を同時に操作することは,眼球に対する侵襲がかなり大きいと予想され,術後,前毛様体血管の虚血壊死による合併症を起こした症例が1957年にStucchi5)らによりなされて以来,Forbes6),Girard7)などにより追加報告されているが,本邦における報告はみられないようである。今回,われわれは過去2年間(1970年,1971年)に,3名の外直筋麻痺患者に対して,4直筋の同時筋移植を行なつた結果,術後に合併症を起こした2症例を経験したので報告する。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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