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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科26巻11号

1972年11月発行

文献概要

談話室

日本近代眼科開講百年史—幕末における日本眼科事情その1

著者: 中泉行正1

所属機関: 1研医会

ページ範囲:P.1345 - P.1353

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緒言
 近代日本医学のあけぼの,それはすでに江戸時代中期に始まる。
 安永3年(1774)杉田玄白らによるはじめての本格的翻訳医学書「解体新書」の公刊は,わが国にいやが上にも蘭学熱を盛んにし,ついに西洋医学への道を切り開いた。眼科においてもこの蘭学熱の影響により杉田立卿が「和蘭眼科新書」を訳述し,これによつて日本近代の眼科もその基礎が固められ,その知識はさらにシーボルトの来日によつて実地に教えられ,ここに西洋眼科が名実ともに紹介されたのである。そしてこの西洋眼科がより多く,より正確に修得されるようになるのは幕末から明治期にかけてであつて,多くの欧米人をわが国に招き直接の指導を受けたのである。またその指導が組織的に行なわれるようになつたのは,明治新政府が樹立され,わが国の医学体系を独逸医学に範をとつて教師を独逸から正式に招いて開講された明治4年(1871)以降であり,そして西洋眼科が日本人自身の力により,わが国の医学教育の中に独立した一分科として採り入れられて行なわれるようになつたのは明治10年以後のことである。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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