文献詳細
文献概要
特集 第25回日本臨床眼科学会講演集(その1) 学会原著
眼球圧迫試験(須田)後にみられた前房隅角出血
著者: 井上洋一1 井上トヨ子1
所属機関: 1オリンピアクリニック眼科
ページ範囲:P.155 - P.159
文献購入ページに移動シュレム管(S管)に相当する部位に充血の認められることは,Salzmannの記載1)以来幾多の報告がある2)。しかしながら,一定の外力を加えてS管に充血を誘発せしめて観察したのは,Kronfeld3)4)がはじめてである。わが国においても,眼球加圧後のS管の充血現象について,池辺5)〜7)(10例20眼),大野8)(47例81眼)の詳細な観察がある。いずれもS管の充血を認めても,血液の漏出を伴つた例は皆無と報告している。
著者らはPosner Schlossman の1症例で,S管の位置,幅等の状態を調べるために,須田圧迫試験を施行し,充血現象を誘発せしめたところ,加圧除去後S管より前房内への出血を認めた(Fig.1)。これまで,須田圧迫試験においては,いわゆる定型的な充血現象3)を認めるのみで,かような出血例の報告がなかつたので,さらに症例を追加して検索した。そして6例7眼にS管よりの出血を認めたので,その出血の状態とその原因と考えられる因子について報告する。
掲載誌情報