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特集 第25回日本臨床眼科学会講演集(その2) 学会原著
網膜動脈のルーフ形成症について
著者: 松井瑞夫1 田代忠正1 松本和1 浅井美子1
所属機関: 1日本大学医学部眼科学教室(駿河台日大病院)
ページ範囲:P.297 - P.304
文献購入ページに移動視神経乳頭上において,網膜中心動脈の分枝がループねじれを形成し,かつ硝子体中に突出している1症例を,1871年にLiebreichが報告して以来,網膜血管ループ形成(ねじれ形成症)は多数報告されている。たとえば,1953年にBislandは6例のループ形成症を報告しているが,それまでに58例,63眼が報告されていると記載している。しかし,多くは1例報告であり,54の報告論文中,3報告が2例以上あつかつているにすぎない。著者らは,最近7例の本症および類似の症例を経験し,眼科学的諸検査,神経学的検査と同時に,眼底立体撮影ならびに螢光眼底撮影を行うことができた。
現在までの報告症例のほとんどが,他の眼疾患あるいは全身疾患のさいの眼底検査時に偶然に発見されたものであるが,著者らの症例は,いずれも飛蚊症を主訴として眼科医をおとずれ,網膜出血等の診断を受けて当科を紹介されたものであるので,網膜出血の原因として本症を考慮すべきことは臨床上有意義なことと考えて,観察成績の概要を報告する次第である。
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