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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科26巻3号

1972年03月発行

文献概要

特集 第25回日本臨床眼科学会講演集(その2) 学会原著

小児にみられる読書遅滞について

著者: 池山恵子1 植村恭夫1 鈴木昌樹2

所属機関: 1国立小児病院眼科 2東京大学医学部小児科学教室

ページ範囲:P.321 - P.329

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緒言
 1896年Morganによりcongenital word bl—indnessとして報告された症例は,14歳の男子で知能低下はなく,個々の文字を読むことはできるが,語句の読みは不可能であり書取も障害されていた。しかし数字の読みは障害されず,計算も相当可能であつたという症例である。この症例が報告されてから今までに外国特に欧米における小児の読書困難の問題が大きくとりあげられ,教育面でも非常に重要視されてきている。これに反してわが国では,小児科,精神科の立場よりの報告は数例みられるが,外国の眼科領域での数限りない報告に対して,眼科的見地からの報告はわが国では全くなされていない。1968年牧田は教師からのアンケートから日本の読書困難児は全体の0.98%であると報告し,これは欧米の約1/10であると考えられる。日本語の特性からしてわが国には少ないことは事実であるが,関心度が非常に薄いことも考慮されなくてはならない。今回著者らは,眼科外来で経験した小児にみられる読書困難の3例について,その臨床症状および種々の検査結果を報告し,その成因,混乱している定義,分類について,また眼科医としていかに対処すべきかを報告する次第である。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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