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雑誌目次

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臨床眼科26巻5号

1972年05月発行

雑誌目次

特集 第25回日本臨床眼科学会講演集(その4)

第25回日本臨床眼科学会講演集目次

ページ範囲:P.602 - P.602

講演
網膜剥離の臨床(その7)
―高度硝子体退縮(Massive Vitreous Retraction)の治療と予防―………………清水昊幸…607
広大眼科で加療した続発網膜剥離症列の総括………………石田尚史・他…613

学会原著

網膜剥離の臨床—(その7)—高度硝子体退縮(Massive Vitreous Retraction)の治療と予防

著者: 清水昊幸

ページ範囲:P.607 - P.611

緒言
 Massive Vitreous Retraction訳して高度硝子体退縮は他にもいくつかの呼称がある。すなわちMassive preretinal fibroplasiaやMassivepreretinal retractionもほぼ同意義に使われている。ここでは最も一般的と思われるMassivevitreous retractionの略称MVRを統一して用いることにする。MVRは周知のように,硝子体が強く退縮し網膜を牽引することによって,高度の剥離,皺襞を生ぜしめ,剥離した網膜を硝子体腔中に固定するものであり,網膜剥離の最高段階といえよう。これは硝子体出血や白内障手術に伴う硝子体脱出,不成功に終わつた網膜剥離手術などによつて惹起され,部分的なものもあるが,全体に及べば,いわゆる漏斗状あるいは朝顔状"morning-glory type"剥離に至るものである。著者は自験例150例の中に14例の典型的なMVRを経験しているので,その成因,治療法,予防法等について考察し報告する。

広大眼科で加療した続発網膜剥離症例の総括

著者: 石田尚史 ,   百々次夫 ,   調枝寛治 ,   高橋明 ,   稲原明肆

ページ範囲:P.613 - P.618

緒言
 続発網膜剥離は原発疾患に基づく多様な臨床症状を示し,またその治療法も画一的でない。すなわち,原発疾患の治療と安静保持で復位するものがある一方,生命の危険のために剥離の治療対象となりえないものがあり,また,復位促進手術を試みざるをえないような症例もある。
 われわれは,1956年1月から1971年6月までの15年6カ月間に,広大眼科に受診した続発網膜剥離症例を総括して,原発疾患別分類およびその頻度,さらに加えた手術療法とその治療成績について検討したところを報告する。

パーキンソン症候群の眼症状

著者: 山崎篤巳 ,   石川哲

ページ範囲:P.619 - P.623

緒言
 近年の組織化学,生化学の進歩により,カテコールァミン(catecholamine)およびその前駆物質の脳内分布やドーパミン(dopamine)代謝が明らかにされるにおよんで,パーキンソン症候群は一躍脚光をあびてきた。特に,人口の老齢化とともにパーキンソン症候群の増加が目立ちはじめ,現在日本に約10万人の患者がいるといわれ,神経疾患では脳卒中に続いて多い。したがつて,眼科領域でもパーキンソン症候群に伴う眼症状が問題となりつつある。パーキンソン症候群の眼症状としては,(1)輻輳麻痺,(2)調節麻痺,(3)上方および下方注視麻痺,(4) Oculogyric crises,(5)Wilson症状(側方注視時に必ずまばたきが起こる症状),(6) Myerson症状(正常のまばたき反射は減少しているが,指を眼の前に急に突きだすとか,ハンマーで鼻根部を打つとかすると激しいまばたきが起こる現象),(7)眼瞼下垂,(8)眼瞼痙攣,(9) Pseudo-Stellwag症状,(10)垂直視性眼振解発不全,(11)滑動性追従運動および衝撃性運動時の階段波形等が知られている。
 われわれは本症の眼球運動障害の詳細をさぐる目的で,定型的パーキンソン症候群の患者11名につきDC-EOGによる視標追従運動検査を行なつた。その結果,全例(100%)に滑動性追従運動における階段波形を認め,7例(64%)に衝撃性運動の立上り時間の延長を認めた。

IgAによるHyperviscosity Syndromeの1例

著者: 松尾治亘 ,   加藤晴夫 ,   友永正昭 ,   鈴木隆次郎 ,   鈴田達男

ページ範囲:P.625 - P.629

緒言
 1932年Reismannは,多発性骨髄腫に伴う血漿粘度の上昇によつて,神経症状,粘膜出血傾向,心臓症状が起こることを報告し,Wintrobeらは,これが特徴ある眼底変化を呈することを報告した1)。その後Waldenströmはmacroglo—bilinemiaに,またCarrやHenkind2)はリンパ性白血病,多発性骨髄腫でも類似の眼底変化の起こることを報告している。その変化は血漿粘度の上昇による乳頭の浮腫,網膜静脈の怒張,蛇行,ソーセージ状変化,多数の小出血斑,および滲出斑等である。
 今回われわれは,免疫globulinの異常亢進により,血漿粘度が上昇し,そのために特徴ある眼底所見を呈し,その経過観察中にSjögren'ssyndrome様症状を呈した症例を経験したので報告する。

抗ビールス点眼薬の催奇性について

著者: 糸井素一 ,   石井康雄 ,   金子襄

ページ範囲:P.631 - P.639

はじめに
 われわれはIDU点眼液をウサギに点眼すると,ウサギに奇形が発生することを知り,すでに予報の形で発表した1)。この論文はその詳細およびIDUに似た抗ビールス剤,F3TDR (trifluo—rothymidine)の催奇実験の結果を報告する。

キモトリプシンによる白内障全摘出術に関する臨床的研究(第3報)—糖尿病者における手術成績について

著者: 阿部泰昭 ,   宮地誠二 ,   桝田英郎 ,   田中直彦 ,   大熊篤二

ページ範囲:P.641 - P.645

緒論
 α—Chymotrypsin (以後α—Chと略)を用いた白内障全摘出手術に関しては,1958年Barraqu—er,J.が発表して以来,数々の報告がある。われわれの教室でも,10数年前よりこれを臨床的に使用し,その老人性白内障に対する総括的成績については,1970年第24回臨床眼科学会において田中ら1)が第1報を発表し,ついで第2報としてCh使用後に発生する一過性眼圧上昇について,桝田ら2)が第77回日本眼科学会総会において発表した。今回は糖尿病者の白内障全摘出術にさいし,Ch使用群と非使用群とに分けて成績を比較検討したのでここに報告する。

視神経鞘内転移癌の1例

著者: 代田徳彦 ,   木村重男

ページ範囲:P.647 - P.653

 視神経,視神経鞘内転移腫瘍はきわめてまれである。欧米に20数例,わが国に数例の報告をみるのみである。
 私どもはこのたび胃癌の視神経鞘内転移の1例を経験したので,ここに簡単に報告する。

眼窩腫瘤を呈したSarcoidosisの1例

著者: 真鍋勉 ,   今川亘男 ,   伊藤翠子

ページ範囲:P.655 - P.658

はじめに
 全身性系統的疾患であるSarcoidosisの眼科領域における病変は,他の臓器に比べきわめて多様であるが,その病変の多くは,ブドウ膜炎の型をとることが多くの報告の中にみられる。が,一方,涙腺とは無関係に眼窩深部に腫瘤をつくるものはきわめてまれなものである。著者は,はじめ左下眼瞼腫瘤を主訴として来院したものが,諸検査の結果,これが眼窩深部に達するSarcoidのgranulomaであつた1例を経験したので,ここに報告する。

ソフトコンタクトレンズの角膜に及ぼす影響

著者: 吉田智彦 ,   内田富次 ,   馬嶋慶直

ページ範囲:P.659 - P.665

緒論
 1960年Wichterle,O.とLim,D.によりゲルコンタクトレンズが発表され,その後臨床報告がDreifus,M.1)らにより相ついで行なわれているが,当初のゲルコンタクトレンズは装用性に優れているが,光学的な面で問題があり,また細菌やカビに汚染されやすい等の欠点があつた。光学性は含水率と反比例するので,最近アメリカおよび日本において,光学性を改善するため含水率の小さいソフトコンタクトレンズが開発され,それらを用いて,Ellis Gruber2),Henry A. Knollら3),Hevbert E.Kautmanら4),中島章ら5)6),James V.Aquavellaら7)により臨床例が報告されている。われわれもセミソフトコンタクトレンズと名づけられた現在使用されているものの中で最も含水率の小さいソフトコンタクトレンズを用い,動物実験および臨床例を経験したので報告する。

視神経膠腫について

著者: 井街譲 ,   下奥仁 ,   井上晃一 ,   伊藤興喜

ページ範囲:P.667 - P.679

緒言
 視神経膠腫は稀な腫瘍であり,たとえばMar—tin&Cushing11)によれば,826例の脳腫瘍症例中7例すなわち0.84%にこれを認めたといい,Taveras15)は2,000例の頭蓋内膠腫のうち1.7%に本症をみている。著者らの教室において1945年から1971年までに356例の脳腫瘍症例に開頭手術を行ない,7例の視神経膠腫症例に遭遇した。このうち,視交叉神経膠腫の3例については1963年にすでに報告したが10),その後1971年10月末までに4症例を得た。これらの症例のうちには視野欠損の状態あるいは内分泌機能障害などから下垂体腺腫を疑わしめた症例もあり,神経眼科的に興味ある点が多いのでここに報告する。

眼窩骨折の分類および臨床所見

著者: 中川喬 ,   大川忠 ,   志賀満

ページ範囲:P.681 - P.683

 眼窩骨折は交通事故,産業事故の増加により,まれなものではない。今回,私どもは自験例55症例を基に新しい分類を試み,その臨床所見につき考察したので報告する。
 文献上多くの眼窩骨折の分類があるが,いずれも一長一短があり,一般に普及している分類はない。

いわゆるScheie症候群(Mucopolysaccharidosis)と思われる1例について

著者: 河本道次 ,   有本秀樹

ページ範囲:P.685 - P.692

緒言
 Hunter (1917年)1)は侏儒,肝脾腫大,四肢の運動障害,鼠径ヘルニア,心肥大,難聴,広い歯間を主症状とした珍しい症例を報告した。ついでHurler (1919年)2)はこれと類似の症例で,さらに知能障害,発育障害,角膜混濁,亀背を伴う症例を記載し,Ellisら(1936年)3)がこれをGargoylismと名づけた。その後Brante (1952年)4)が本症の患者より多量の酸性ムコ多糖体を抽出し,Mucopolysaccharidosisといわれるようになり,Scheie (1962年)5)は10例のMucopolysacchari—dosisを発表し,特に眼科学的に詳細に述べ,またMcKusick (1965年)6)は臨床所見,尿中ムコ多糖体の異常排泄,質的異常,遺伝形式等からHurler,Sanfilippo,Morquio,Scheie症候群の5型に分類したが,さらに1969年7)にMaroteaux—Lamy症候群の1型を加え,6型に分類した。私どもは今回Muco—polysaccharidosisでMcKusickの分類の第V型であるScheie症候群と思われる1例を経験し,眼科的にいささか検討を加える機会を得たので,ここに報告する。

診断用フルオレスセインによる皮内反応と副作用について

著者: 三木徳彦 ,   砂田勲 ,   吉田愿 ,   桧垣忠尚 ,   豊田公子

ページ範囲:P.693 - P.696

緒言
 1961年にNovotny&Alvisよつて,はじめて発表された螢光眼底撮影法は,1964年に藤沢,谷らによつてわが国に導入され,以後急速に眼底疾患診断に重要な位置をしめるに至つた。
 しかし,本法の普及とともに,フルオレスセィン−ナトリウム(以後Fluo-Naと略す)静注時の副作用の問題が注目されはじめている。

後部眼内磁性異物摘出術における異物による眼膜自切と強膜切開刀について

著者: 中林正雄 ,   愛川和代

ページ範囲:P.697 - P.701

 われわれは1967年以来,磁性体の後部眼内異物に対し,local approachをもつて摘出してきた。その方法は第1図に示すように,メタルロケーターの示す方向に強膜上を探してゆき,みつけた場所で手持マグネットとメタルロケーターでその移動性をしらべ,移動しないものはその場所で,移動するものはpars planaの近くまでもつてきて摘出する。この方法の利点は,第2穿孔創または第2刺入創に対しジァテルミーなどの網膜剥離予防を行ないうることで,固定している異物を巨大マグネットなどでむりに引きはがして網膜剥離の原因をつくるなどのことがない点であり,移動性のものでも必要ならば,はじめの存在位置を予防的に凝固することができる。
 全症例の成績は第1表に示す。重複穿孔2眼,強膜から突出していたもの1眼,すでに強膜上に小さな黒線を認めたもの4眼,黒線はなかつたが固定していたもの8眼であつた。治療後の最終矯正視力は治療中のものを除いて,1.0ないし0.4が54%,0.4ないし0.1が17%,すなわち視力0.1以上が合計69%あり,これらは網膜剥離等が全くなく,絶対視野は正常であつた。視力低下のほとんどは角膜創の瘢痕のためである。31%は(実用上)失明した。

眼瞼下垂に対する眼瞼挙筋前転法の改良法

著者: 丸尾敏夫 ,   久保田伸枝

ページ範囲:P.703 - P.707

緒言
 眼瞼下垂の手術方法としては,眼瞼皮膚から行なう眼瞼挙筋前転法がもつともすぐれていること,および,私どもの術式と定量法については,すでに第22回日本臨床眼科学会において報告した1)2)。その後,手術方法に2,3の改良を加えたところ,一層良好な成績が得られるようになつた。そこで,その手術方法を紹介しておきたいと思う。

網脈絡膜間Heterotopic Ossificationの一例

著者: 馬嶋孝 ,   吉岡成子 ,   馬嶋昭生

ページ範囲:P.709 - P.716

緒言
 眼内化骨に関する報告は,きわめて多数にのぼるが,そのすべてが萎縮眼球内における骨の新生であり1)〜4),視力のいまだ存在する眼球における骨形成に関する報告はない。今回私たちは,脈絡膜腫瘍の患者の眼球摘出を行ない,組織学的にheterotopic ossificationであつたという,きわめてまれな症例に遭遇したのでここに報告する。

螢光眼底撮影法—その6視神経乳頭の螢光像

著者: 清水弘一

ページ範囲:P.717 - P.724

緒言
 螢光眼底造影法が網膜のみならず,視神経乳頭の微小循環の解析や,その病変の補助診断法として利用できることは,すでにいくつもの報告があるが,その応用は主としてうつ血乳頭などに限られていた。ことに,視神経乳頭の螢光像を,乳頭内の血管構築や,乳頭周囲の脈絡膜血行と関連させて解釈しようとする試みは,近年,緑内障眼などではじまつてはいるものの2)4),まだ緒についたばかりであり,特に,正常眼での螢光所見と関係してとられていないため,まだ多くの問題点を残している。
 著者は新しいフィルターの組み合わせと,頻回螢光撮影手技とを採用することにより,従来の方法では得られなかった視神経乳頭の螢光を記録解析することに成功し,とくに,正常眼についても,乳頭そのものの螢光に,その血管構築と関連したいくつかの型があること,そして,乳頭内血行は,脈絡膜循環と密接な関係のあることを発見した。これらの知見は,今後,各種の病的状態における乳頭の螢光像を解釈する場合にも,つねに留意されるべき基準であるとみなされる。

第25回日本臨床眼科学会 GROUP DISCUSSION

目の公害・医原性疾患

ページ範囲:P.749 - P.755

 前回まで,神鳥教授が世話人となり医原性疾患として続いてきたこのグループディスカッションは,今回から今泉が世話人を引き継ぐことになつたのを機に,名称も「眼の公害・医原性疾患」と改め,第25回臨床眼科学会において,第1回目の発表および討議が行なわれた。
 公害という社会的関心の強い問題を,眼科領域から追求する新しい試みであつたためか,眼科専門医のみならず,厚生省および地方官庁の担当者,農薬会社の研究者および報道陣も加わり,参加者は20名以上の教授を含めて,実に200人に達し,青木会長の配慮で最も広い会場を提供してもらつたのにもかかわらず,満場立錐の余地もないほどの盛況であつた。また,講演の内容も斬新的なものが多く,討論もすこぶる活発であつた。

遺伝性眼疾患

ページ範囲:P.757 - P.760

1.網膜色素変性症と脈絡膜硬化
小島 克(名古屋市)
新美勝彦・矢藤仁久・吉兼美紀(名大)
 老人性網膜色素変性症と考えられる77歳の男と,脈絡膜硬化に起因する色素上皮変性症の74歳の男について報告した。いずれも50歳前後の発病であり,光覚障害,ERGの消失といつた所見は普通であり,検眼鏡的にも,特に下鼻側〜下方に白色化した脈絡膜血管を露呈し,螢光像では硬化のつよい部分で背景螢光の消失,境界域で背景螢光の遅延を認めた。しかし,視野は前者では10°以下の求心性狭窄であるのに対し,後者では両上耳側四分盲様であつた。このことは,前者では網膜変性が先行し,脈絡膜硬化しこれを修飾するといつた病態であり,後者は脈絡膜硬化に起因した網膜病態というように想像した。病状進行はいずれも緩徐であつた。また,検眼鏡的に全域が汚穢変性し,螢光像で乳頭黄斑周に脈絡膜血管が露呈し,光覚障害の著しい44歳,男の例を報告した。

神経眼科(第9回)

ページ範囲:P.761 - P.766

1.対眼窩腫瘍放射線療法に因る脳損傷例
小原 博亨(名古屋鉄道)
赤坂俊一・他(静岡鉄道)
 Basalzellen Krebsの患者に眼窩内容除去を行ない,その後に放射線原体照射を行なつたが,再発転移をきたした。これに対し,3年間に総量25000Rの60Co照射を行なつた。
 患者は脳症状を起こして死亡したが,剖検により脳実質に大きな壊死,出血をみたが,これは硬脳膜の小血管のみならず大血管にまで栓塞を起こし,これが脳損瘍の原因となつたと考える。

連載 眼科図譜・175

Clostridium Perfringensによる全眼球炎の1例

著者: 国司昌煕

ページ範囲:P.605 - P.606

〔解説〕
 ガス壊疽菌群による全眼球炎はきわめて稀なものである。なかでも最も毒性の強いといわれるClostridium perfringensによる全眼球炎につき,その特異的所見を供覧する。患者は47歳,女子で,鍬で畑をほつていたところ右眼に異物が飛入した。レ線撮影で眼内鉄片異物が認められた。
 〔第1図〕:受傷後約20時間後のものである。角膜は浮腫をきたしてその周辺部には輪状膿瘍を形成し,4時の部で1〜2mm内側には穿孔創があり,瞳孔はその方に偏位しているらしい。前房は軽度に混濁し,線維素の析出が認められ,前房の上方および穿孔部に著明なガスの発生が見られる。

臨床実験

Clostridium Perfringensによる全眼球炎の一例

著者: 国司昌煕

ページ範囲:P.731 - P.734

緒言
 ガス壊疽菌群による全眼球炎は,欧米では時にその報告が見られるが,本邦ではきわめて稀なものである。
 ガス壊疽菌群のうちClostridium perfringensによつて起こつた全眼球炎の症例について,その特異的な所見を述べ,あわせて本症に関する文献的考察を試みた。

網膜剥離術後の早期離床について

著者: 原たか子 ,   原孜

ページ範囲:P.735 - P.739

緒言
 術後10日間は両眼包帯下に絶対安静を守らせ,2週間後に歩行を開始させるというのが1969年までわれわれの採用してきた網膜剥離の術後安静度であつた。しかし次第に「これほどの苦痛を患者に強いなければ網膜剥離というものを直すことができないのだろうか」,「われわれは患者に不必要な負担を強いているのではないか」という疑問を抱くようになり,1969年後期より徐々に安静度の軽減を試み始めた。途中,われわれと意見を全く同じくする清水1),佐藤2)の報告を読み勇を得るとともに,自らの症例数が増すにつれ早期離床の実施について確信が持てるようになつたので,1970年5月より今回報告するような安静度の実施に踏み切つた。今回の報告は1971年9月までの分をまとめたものであり,症例数は多いとはいえないが,地方の一個人病院としての一つの成績を発表することは決して無駄なことではないと考えて,報告する次第である。

原田病の螢光眼底所見について

著者: 五十嵐良 ,   田中宣彦

ページ範囲:P.741 - P.747

緒言
 原田病の螢光眼底所見についての報告はすでに多数の発表をみるが,病期(stage)の経過を追つた報告はあまりみられない。われわれは原田病の症例に螢光眼底撮影を行ない,本病に対して若干の検討を加えたので報告する。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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