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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科26巻5号

1972年05月発行

特集 第25回日本臨床眼科学会講演集(その4)

学会原著

パーキンソン症候群の眼症状

著者: 山崎篤巳1 石川哲1

所属機関: 1北里大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.619 - P.623

文献概要

緒言
 近年の組織化学,生化学の進歩により,カテコールァミン(catecholamine)およびその前駆物質の脳内分布やドーパミン(dopamine)代謝が明らかにされるにおよんで,パーキンソン症候群は一躍脚光をあびてきた。特に,人口の老齢化とともにパーキンソン症候群の増加が目立ちはじめ,現在日本に約10万人の患者がいるといわれ,神経疾患では脳卒中に続いて多い。したがつて,眼科領域でもパーキンソン症候群に伴う眼症状が問題となりつつある。パーキンソン症候群の眼症状としては,(1)輻輳麻痺,(2)調節麻痺,(3)上方および下方注視麻痺,(4) Oculogyric crises,(5)Wilson症状(側方注視時に必ずまばたきが起こる症状),(6) Myerson症状(正常のまばたき反射は減少しているが,指を眼の前に急に突きだすとか,ハンマーで鼻根部を打つとかすると激しいまばたきが起こる現象),(7)眼瞼下垂,(8)眼瞼痙攣,(9) Pseudo-Stellwag症状,(10)垂直視性眼振解発不全,(11)滑動性追従運動および衝撃性運動時の階段波形等が知られている。
 われわれは本症の眼球運動障害の詳細をさぐる目的で,定型的パーキンソン症候群の患者11名につきDC-EOGによる視標追従運動検査を行なつた。その結果,全例(100%)に滑動性追従運動における階段波形を認め,7例(64%)に衝撃性運動の立上り時間の延長を認めた。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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