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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科26巻5号

1972年05月発行

文献概要

特集 第25回日本臨床眼科学会講演集(その4) 学会原著

後部眼内磁性異物摘出術における異物による眼膜自切と強膜切開刀について

著者: 中林正雄1 愛川和代1

所属機関: 1和歌山県立医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.697 - P.701

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 われわれは1967年以来,磁性体の後部眼内異物に対し,local approachをもつて摘出してきた。その方法は第1図に示すように,メタルロケーターの示す方向に強膜上を探してゆき,みつけた場所で手持マグネットとメタルロケーターでその移動性をしらべ,移動しないものはその場所で,移動するものはpars planaの近くまでもつてきて摘出する。この方法の利点は,第2穿孔創または第2刺入創に対しジァテルミーなどの網膜剥離予防を行ないうることで,固定している異物を巨大マグネットなどでむりに引きはがして網膜剥離の原因をつくるなどのことがない点であり,移動性のものでも必要ならば,はじめの存在位置を予防的に凝固することができる。
 全症例の成績は第1表に示す。重複穿孔2眼,強膜から突出していたもの1眼,すでに強膜上に小さな黒線を認めたもの4眼,黒線はなかつたが固定していたもの8眼であつた。治療後の最終矯正視力は治療中のものを除いて,1.0ないし0.4が54%,0.4ないし0.1が17%,すなわち視力0.1以上が合計69%あり,これらは網膜剥離等が全くなく,絶対視野は正常であつた。視力低下のほとんどは角膜創の瘢痕のためである。31%は(実用上)失明した。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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