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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科26巻9号

1972年09月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・179

新生児にみられた原発性眼窩悪性血管腫の1例

著者: 高久功 ,   津田尚幸 ,   土山秀夫 ,   池田政明 ,   吉田卓郎 ,   松村豪

ページ範囲:P.1113 - P.1114

〔解説〕
 新生児にみられる原発性眼窩腫瘍の中でも,悪性血管腫は非常にまれとされている。
 今回われわれは生下時すでに右眼球が突出した生後13日目の新生児を経験したので報告する。

臨床実験

新生児にみられた原発性眼窩悪性血管腫の1例

著者: 高久功 ,   津田尚幸 ,   土山秀夫 ,   池田政明 ,   吉田卓郎 ,   松村豪

ページ範囲:P.1115 - P.1119

緒言
 眼窩に原発する腫瘍の中で,血管腫は比較的多く認められているが,ほとんどのものが良性であり,悪性は非常にまれであると考えられている1)
 文献によると,Reese2)(1963)は,109例の原発性眼窩腫瘍中25例(22.9%)が血管腫であつたと報告し,Farrest3)(1949)は184例中25例(13.4%)が良性血管腫であり,1例(0.54%)のみが悪性血管腫であつたと述べている。

中心性網脈絡膜炎に対するHomoclominの効果

著者: 今泉亀撤 ,   高橋利兵衛 ,   渥美健三 ,   小川健次 ,   小原喜隆 ,   星兵仁

ページ範囲:P.1121 - P.1132

緒言
 中心性網脈絡膜炎は,われわれ眼科医が臨床的にきめて多く遭遇する代表的な眼底疾患の一つである。したがつて,本症に対しては,古くから幾多の治療法が試みられてきたにもかかわらず,その成因が現在なお不明であるゆえもあつて,いまだ決定的な治療法が確立されるに至つていない。
 一方,最近,急速な進歩発達を遂げている螢光眼底撮影法は,本症の発生機序に大きな示唆を与え1),その所見にもとづく光凝固の応用は,本症の治癒促進に多大の効果をもたらしている。

眼サルコイドージス(第6報)—胸部病変がおくれて出現した1例

著者: 山田酉之 ,   長谷川桂子 ,   朝岡真 ,   米地和夫 ,   氏家瑞恵

ページ範囲:P.1133 - P.1136

緒言
 サルコイドージスの主病変が胸部病変であることは一般に認められているが,これを欠く症例も少数みられ,全身の病変の相互の関係は発生機序とからんで興味を持たれているところである。われわれの報告する1例は,胸部病変が眼病変よりはるかにおくれて出現したきわめて稀なものであるが,逆に胸部病変が早くから出没していた可能性を示唆するものであつた。

網膜芽細胞腫の遺伝的発生例—とくに染色体所見について

著者: 大西克尚 ,   宮本成章

ページ範囲:P.1137 - P.1140

緒言
 網膜芽細胞腫は近年その発生頻度が次第に増加の傾向を示しているといわれている。これは本症に対する一般の関心がたかまり,早期発見早期治療が行なわれ,愚者が成人して子どもをもうける機会がましたこともその一因であると考えられる。
 著者らは,母親と異父姉に同一疾患の発生をみた網膜芽細胞腫の症例を経験し,その末梢白血球ならびに腫瘍細胞の染色体分析を行なう機会をえたので,その結果を報告する。

対眼窩腫瘍放射線療法による脳損傷例

著者: 小原博亨 ,   赤塚俊一 ,   中村一夫 ,   小田善男 ,   前田聰 ,   渡辺令 ,   宮島忠 ,   阿久津澄義 ,   新城長昭

ページ範囲:P.1141 - P.1147

緒言
 眼窩腫瘍の手術療法にも限界がある場合があり,また,抗癌物質の薬剤療法にも副作用のため使用制限されることがあり,放射線療法の対眼窩腫瘍療法における比重は強い。しかしながら放射線療法にもその副作用はまぬがれないところである。
 小原らは,かつて対眼窩腫瘍放射線療法により,眼窩に最も近い髄膜に炎症および壊死を起こした症例を報告し,かかる副作用を防ぐため,原体照射療法(クリヌキ照射療法)を用いるべきであることを提唱した。しかし,私どもは,眼窩腫瘍に原体照射〔回転照射〕を行なつたが,再発および耳前リンパ腺への転移等のため4回にわたる照射を行なつたので,脳に重大な変化を生じた例を報告し,その脳の病変の機転について,従来報告されているごとき100〜500μの動脈のみならず,実に大きい血管にも変化が現われているのを知つたので,ここに報告する。

鼻性球後視神経炎の診断について

著者: 鈴木宜民 ,   忍足正之 ,   黒田紀子

ページ範囲:P.1149 - P.1153

緒言
 鼻性球後視神経炎の問題は,さきに鈴木1)が詳細に論じたところで,珍しい話題ではないが,最近私どもは本症の数例を経験した。その中には本症の診断上特に興味ありと思われる症例も含まれている。今回は後部副鼻腔の手術所見に重点を置いて本症診断の問題を考えてみたい。

抗トキソプラスマ剤としてのサルファ剤の考察—特にスルファメトピラジンについて

著者: 百瀬皓 ,   井上潤一 ,   峰克彰 ,   C.Rai

ページ範囲:P.1155 - P.1160

緒言
 臨床的に現在広く用いられている抗トキソプラスマ(以下Tp.)剤はPyrimethamine, Sulfo—namide, Acetylspiramycinであり,またごく最近ではDDS (Diamino-diphenyl Sulfone)1),SDDS (Sulfanoyl-diamino-diphenyl Sulfone)2)〜4)も試用されている。Sulfonamideはその化学構造により抗Tp.作用に著しい差があり,たとえばSulfadiazine, Sulfamerazine, Sulfame—thazine等のPyrimidine誘導体ではMED (Me—dian Effective Dose)が血中濃度で40mg/dlであるのに対して,Sulfapyridineは450mg/dl,Sulfanilimideは600mg/dlである5)。現在ではSulfamethoxypyridazine, Sulfamonomethoxi—ne, Sulfamethopyrazineが最も有効であるといわれ,後2者のED 50(Eradication Dose 50)はいずれもマウスにRH株を接種した場合25mg/kg以下である6)
 われわれは過去約9年間に数多くのTp.症の治療を行なつたが,そのうち40例においては比較的長期にわたり経過を観察することができた。その薬物療法の組合せは第1表に示すごとくである。

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第26回日本臨床眼科学会・日程

ページ範囲:P.1162 - P.1167

◇グループディスカッション
 グループディスカッションは,神奈川県立青少年センター,神奈川婦人会館,横浜市教育会館,神奈川県医師会館,横浜市従会館の5カ所の会場で行ないます。別項案内図をご参照ねがいます。交通機関は一般講演会場とほぼ同じです。会場附近には駐車場が全く用意してありませんので,一般交通機関をご利用の上,お越しください。なお,グループディスカッション会場には,プロジェクター1台を用意します。

眼・光学学会

明視注視野の比較による眼鏡用多焦点レンズの比較

著者: 大塚任

ページ範囲:P.1173 - P.1176

緒言
 眼鏡レンズについては,光学方面では種々の検討が加えられ,無収差の良いレンズが作られているが,眼科方面では割合にこれに関する研究が少なく,最近脚光を浴びてきたVarilux lensなどについても,眼科では単に装用した感じで良いとか悪いとかで賛否両論が行なわれている。著者はまず自家用の眼鏡につき明視注視野を比較して,ついで非点収差を光学的に測定して,レンズの良否を判定しようと試みた。

Soft Contact Lensの光学

著者: 中島章 ,   柴田博彦 ,   曲谷久雄 ,   平野東 ,   黒川幸子 ,   高井信 ,   小坂雄二 ,   厚沢正幸 ,   斑目哲子

ページ範囲:P.1177 - P.1178

 世界を通しSoft C.L.に関する研究は親水性材料によるものに集中され,特にチェコスロバキヤ国立高分子研究所のOtto, Wichterle等の研究によるGeltaktレンズに源を発するHEMA (第1図)を用いたものおよびこれを基本とした材料によるレンズを用いた研究が最も多い。
 著者らはWichterleの研究に着目し,独自にSoftC.L.用材料の開発に努め,一方そのレンズによる臨床実験を重ねて昨年第9報までを日本C.L.学会に報告した。本報においてはHEMAおよびこれを主体とした親水性材料を光学材料として使用するに関しての光学的な考察,検討について報告する。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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