文献詳細
特集 第26回日本臨床眼科学会講演集(その1)
講演 学会原著
文献概要
昨年秋わが国各地で流行した新型の急性出血性結膜炎acute haemorrhagic conjunctivitis (以下AHCと略す)は,北海道では昨年10月末から多発し,4カ月間に3000名以上の人が罹患した。われわれは道内各地の症例につきその臨床症状,疫学的調査および結膜ぬぐい液から分離した14株のvirusの性状につき一部発表1)2)してきたが,その後各地分離virusとペア血清の中和試験一部交叉中和試験が行なわれ,道内各地の流行がそれらと血清学的に同一のものであることが一層確かめられるとともに,道内流行以前の健康者血清の本症virusに対する抗体保有が30歳以下では陰性で,壮年者でも低率かつ低値であつたことも判明した3)。さらに世界各地の流行地と材料が交換され,このvirusが共通した病原体である可能性が強く示唆されている現状である。
われわれは道内の症例中のvirusが分離された例と,血清学的にAHCと考えられる21例につき臨床症状を検討したが,その臨床的特徴はおおむね第1表のようにまとめることができ,流行性角結膜炎との鑑別も多くは可能であつた。しかし時に診断を誤りやすい例があった。以下の2例はいずれも血清学的に上記分離virusと反応しなかつた症例である。
われわれは道内の症例中のvirusが分離された例と,血清学的にAHCと考えられる21例につき臨床症状を検討したが,その臨床的特徴はおおむね第1表のようにまとめることができ,流行性角結膜炎との鑑別も多くは可能であつた。しかし時に診断を誤りやすい例があった。以下の2例はいずれも血清学的に上記分離virusと反応しなかつた症例である。
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