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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科27巻1号

1973年01月発行

文献概要

特集 第26回日本臨床眼科学会講演集(その1) 講演 学会原著

円錐角膜の角膜移植後に認められたいわゆる「不可逆性散瞳」について

著者: 小向正純1 大橋孝治1

所属機関: 1慶応義塾大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.23 - P.24

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 円錐角膜に対する角膜移植後に異常な散瞳の起こることが知られている。この散瞳は移植術後間もなく始まり縮瞳薬はほとんど効果がなく,虹彩色素の脱落,虹彩後癒着などを起こしながら次第に虹彩萎縮に陥り,散瞳は不可逆性となる。その経過中に水晶体前嚢下の混濁を生ずることがあり,また二次的に緑内障を起こすこともある。これまでの報告では自然軽快例はあるが,有効な治療法は報告されていない。
 われわれは最近10年間にこの不可逆性散瞳をきたした症例を7例経験した。そのいずれもが円錐角膜の症例であつた。7例中の4例では,Pilocarpine, Escrineに全く反応せず,最終的に不可逆性の散瞳状態に固定した。その2例では術後8日目および20日目より眼圧上昇を認め,後日瀘過手術を行なうに至つた。また他の1例では術後260目より角膜潰瘍を起こし,この3例では移植片は混濁した。残る3例中の1例は移植翌日より散瞳が始まりPilocarpine, Eserine, Phospholine iodide, D.F.P.のいずれも無効であつたが,術後2カ月から3カ月にかけて次第に縮瞳傾向を示し,最終的に径6.0mm程度となつたが,この状態でも縮瞳薬は無効であつた。すなわち不完全な自然軽快例と思われる。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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