文献詳細
臨床実験
文献概要
緒言
著者1)はさきにBehçet症候群患者の線溶能を一年あまりにわたつて測定して,その変動について報告したが,その後糖尿病性網膜症をはじめ,その他2〜3の眼疾患について線溶能を調べたので,その結果を報告する。
線溶能の動きを見る場合,同時に凝固系の変動も考慮に入れなければならない。それはこれらの酵素系が常に一定の状態にあるものではなく,凝固系の亢進のあつた場合には必ず代償的に線溶能の亢進が起こり,これらが一定期間続けば再び代償的に凝固系の亢進あるいは線溶系の低下が起こるからである。生理的な状態ではこのような動きの幅は少ないが,糖尿病や炎症,腫瘍等の場合にはその振幅が大きく,また止血剤や抗炎症剤の投与による影響も考えられ,1回あるいは数回の検査結果で長期間の線溶能を推定することは不可能である。
著者1)はさきにBehçet症候群患者の線溶能を一年あまりにわたつて測定して,その変動について報告したが,その後糖尿病性網膜症をはじめ,その他2〜3の眼疾患について線溶能を調べたので,その結果を報告する。
線溶能の動きを見る場合,同時に凝固系の変動も考慮に入れなければならない。それはこれらの酵素系が常に一定の状態にあるものではなく,凝固系の亢進のあつた場合には必ず代償的に線溶能の亢進が起こり,これらが一定期間続けば再び代償的に凝固系の亢進あるいは線溶系の低下が起こるからである。生理的な状態ではこのような動きの幅は少ないが,糖尿病や炎症,腫瘍等の場合にはその振幅が大きく,また止血剤や抗炎症剤の投与による影響も考えられ,1回あるいは数回の検査結果で長期間の線溶能を推定することは不可能である。
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