文献詳細
臨床実験
動眼神経麻痺の経過中にみられた瞳孔の異常連合運動について
著者: 大野新治1 向野和雄1
所属機関: 1九州大学医学部眼科学教室(現:北里大学医学部眼科学教室)
ページ範囲:P.229 - P.239
文献概要
動眼神経麻癖の経過中に同神経支配下の筋にみられる異常連合運動は,1879年Gowers1)によつてはじめて報告されたものである。しかしその論文では瞳孔の異常に関しては全くふれられていない。その後Fuchs (1895)2)は,この動眼神経支配下の外眼筋相互間の異常連合運動のほかに,瞳孔と外眼筋との間にも,異常連合運動がみられることがあるのを指摘し,注目をひいた。その後も筋相互間の異常連合運動の報告は多く,最近では筋電図学的検査も行なわれるに至つている3)4)。しかしながら瞳孔と眼筋との異常連合運動に関しては一般の関心も薄く,眼筋相互間の異常連合運動の報告に付随して簡単にふれられているだけであり,きわめて不十分な記載があるにすぎない。ただFord,WalshとKing (1941)5)は特に瞳孔の異常神経支配にも言及していて,注目に価するが,これとても詳細なものではない。
われわれも先に外眼筋の異常連合運動の9症例に筋電図学的検索を加え,瞳孔の異常についても簡単に言及した6)。今回はこの9症例中先天性の異常連合運動の1例を除いた8例と,ほかにその後経験した2症例を加え,あわせて10例について特に瞳孔の異常連合運動に留意して,写真撮影による検査を行なつたところ,10例中6例に明らかな瞳孔の異常連合運動を発見した。
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