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臨床実験
脈絡膜血管腫とその光凝固による治療
著者: 荻野誠周1 大熊正人1 宇山昌延1
所属機関: 1京都大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.633 - P.641
文献購入ページに移動脈絡膜血管腫は,現在までに約170例の報告があり,本邦例も約11例を数える。脈絡膜血管腫は従来まれとされてきたが,Lentら1),Linden—meyer2),Hillら3),Garrowら4)は,さほど珍しいものではないと示唆している。螢光眼底検査法の普及後,本症の臨床的診断が比較的容易となり,最近その報告が本邦においても増加している。注意すれば,今後さらに多数例の発見がなされるものと考えられる。
最近われわれは,続発性網膜剥離を伴つた典型的な脈絡膜血管腫を経験し,腫瘤部に光凝固療法を行なつて,網膜剥離の完全な消失と,血管腫の著明な縮小をみた。術前の臨床像,ことにその螢光眼底撮影の所見,光凝固療法の実際と術後の経過をのべ,また本症の臨床的診断,とりわけ脈絡膜悪性黒色腫との鑑別について考察したい。
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