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特集 第26回日本臨床眼科学会講演集(その6) 学会原著
眼窩壁骨折の臨床経過
著者: 種田光成1 馬嶋孝1 馬嶋昭生1
所属機関: 1名古屋市立大学眼科学教室
ページ範囲:P.723 - P.730
文献購入ページに移動眼部を強打することにより眼球陥凹,複視をきたす報告はかなり古くよりみられるが1)2),1957年SmithとRegan3)は,受傷後,眼球陥凹および複視を生じた眼窩壁骨折のうち,特に興味ある症例を見出し,これをblowout fractureと名づけ,さらに1967年Converseら4)はその成因および骨折の分類に関して考察し,交通外傷が最も多いと述べている。交通外傷によるものは顔面の変形を伴い眼科的治療以外に形成外科,耳鼻科的治療が必要である。一方,交通外傷以外は若年者の遊戯中の事故により複視を主訴とする眼機能障害を生ずるものが多く,眼窩壁骨折に関し眼科医の立場からの分類5)6),診断7)8)および手術法6)7)9)〜14)に関して多くの報告がなされている。この種の骨折における種々の要因,たとえば受傷原因,臨床所見,骨折部位等の関連性,術後の眼機能障害の回復に関する報告はいまだほとんどない。著者らは,1967年より1971年9月までに16例の眼窩壁骨折を経験し,これらの症例に対し,年齢,性別,受傷原因,骨折部位,眼球運動制限等の関連性について,また,X線診断,術前術後の臨床所見を検討したので報告する。
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