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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科27巻7号

1973年07月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・189

牛眼手術後にみられた両眼水晶体欠損の1例

著者: 日谷博光 ,   高田昌子

ページ範囲:P.853 - P.854

〔解説〕
 水晶体欠損は無散瞳状態ではみのがされやすいためか,その報告例は少なく,本邦では7例(10眼)の症例をみるにすぎない。これらはいずれも先天性欠損と思われる症例であり,Vogt等が報告している虹彩切除等の手術侵襲によつて二次的に生じたと思われる水晶体欠損の症例報告はない。
 われわれは最近,乳児期に受けた牛眼手術によつて生じたと思われる両眼水晶体欠損の1症例を経験した。

座談会

新設医科大学になにを望むか—特に眼科を中心として

著者: 浦山晃 ,   湖崎弘 ,   清水昊幸 ,   桐沢長徳 ,   初田博司

ページ範囲:P.856 - P.868

 初田(司会)遠いところからお集まりいただきまして,たへいん恐縮です。今日の座談会は新設医科大学を中心にしてお話願いたいと思います。
 新設医科大学側としまして,浦山(秋田),清水(自治)の両先生,医師会側として湖崎先生と私,それにここ数年文部省の大学設置専門委員としてご活躍いただいております桐沢先生には,新制医科大学の設立に関してなにか疑義などがあつた時にご説明いただくために,特にオブザーバーとしてご参加いただきました。どうぞよろしくお願いいたします。

臨床実験

神経性眼精疲労における循環動態の検討—第1報指尖容積脈波よりのapproachその2

著者: 安藤文隆 ,   邸信男 ,   中道五郎 ,   矢部義昌

ページ範囲:P.871 - P.880

緒言
 患者の訴える不定愁訴に対して,その原因と考え得る眼科的異常所見の見出せない,いわゆる神経性眼精疲労患者に低血圧症が多いことはよく知られていることである。
 今回われわれは,この神経性眼精疲労患者のうち,40歳以下の37名の循環動態を検討したところ,大多数例に光電式指尖容積脈波上同一傾向をもつ異常patternが認められた。そしてその治療により循環動態が正常化されると,眼精疲労症状もすべて消失し,その相関性から眼精疲労症状を呈する原因と考えられたので,一部症例の経過とともに報告する。

Forced Duction Testの他覚的表示—第3報筋無力症への応用について

著者: 岩瀬文治 ,   古賀旭 ,   城月裕高

ページ範囲:P.881 - P.884

緒言
 筋無力症は神経筋接合部の障害が原因とされており,眼科領域における症状としては,瞼下垂および眼球運動障害が認められる。
 1967年Glaser1)は,抵コリンエステラーゼ剤のTensilon (Antirex)を静注することにより,静注前後の眼圧差が筋無力症患者においては著明に変動することから,Tensilon tonographyという診断法を確立して脚光をあびた。

強度近視の矯正視力について

著者: 所敬

ページ範囲:P.885 - P.890

緒言
 強度近視には網膜剥離,硝子体混濁,脈絡膜出血,黄斑部変性および緑内障など種々の合併症が認められるが,特にこのような合併症が存在しないと思われても矯正視力の不良な症例がみられる。屈折度と視力との関係については従来より多数の報告がみられるが,強度近視眼は少数例でこれを除いて統計をとつているものが多い1)。そこで今回は,強度近視に重点をおき,その裸眼視力および矯正視力を統計的に観察し,合併症のない強度近視で矯正視力が不良な点に関して考察を加えた。また,7年間の推移を観察中強度近視に進展してきた症例の視力,屈折度および眼軸長の経過についても報告する。

フルオレスセイン結膜下注射による前房染色に関する研究—第2報各種眼疾患についておよび点眼剤の温流におよぼす影響について

著者: 鈴木昭子

ページ範囲:P.891 - P.896

緒言
 Fluorescein-Na (以後Fと略記)結膜下注射による前房染色法1)2)は,微量のFにて高濃度の前房染色が可能であり,各種前眼部疾患診断への応用はもとより,その他の臨床ならびに研究への応用範囲が広いものである。
 著者は第1報3)において,結膜下注射されたFの前房への流入経路について隅角鏡を使用して観察し,また正常眼温流について観察撮影し,その成績を報告した。今回はこの方法を各種眼疾患者に応用し,さらに点眼剤による温流の変化を経時的に観察し,撮影することができたのでその成績を報告する。

特発性瞼痙攣に対する手術例

著者: 小島道夫

ページ範囲:P.897 - P.900

緒言
 瞼痙攣は不随意的な持続性の眼輪筋の強制的な収縮で,数秒から数時間まで続くもので,これには症候性と特発性とがある。
 症候性瞼痙攣とは眩光による網膜刺激あるいは角膜,結膜や眼瞼の刺激による眼輪筋の反射性攣縮のことで,まれには脳炎後のParkinosonismや類似の疾患のさいにもみられる。

諸種ERG電極の比較検討

著者: 窪田靖夫

ページ範囲:P.901 - P.904

緒言
 ERGの記録にさいし,電極,ことに角膜側電極は最も重要な問題であり,従来内外において多くの考案がなされてきた。すなわち,浅山・永田らの亜鉛・硫酸亜鉛型電極1)2),川畑3)のコンタク卜レンズ型電極,Henkes4),佐藤5),渡辺ら6)のL0—Vac型電極,Benjamin Ziv7)の輪状金箔電極,Jacobson8),Riggs9)らの強角膜コンタクトレンズ型電極等種々のものがある。
 著者は今回,現在わが国において頻用されているERG電極数種を用いてERGを記録し,比較検討を試みたのでその結果について報告する。

光化学スモッグによる表層角結膜炎に対するリゾチーム点眼薬の使用経験

著者: 蒲山久夫

ページ範囲:P.905 - P.910

緒言
 いわゆる光化学スモッグによる著しい被害が発生したのは,東京都内では1970年7月18日の立正高校事件に始まる。以来都内では初夏から秋期にかけてしばしば高濃度のオキシダントが発生し,年々被害が増加する傾向がある。
 本年は5月12日に始まる石神井南中学校の被害を筆頭として,世田谷太子堂中学校,清瀬中学校,練馬豊玉中学校などにおいて集団被害があいついで発生し,社会問題として新聞などで大きくとり上げられるに至つた。これらは学校における集団被害であるが,その他一般の人が眼がちかちかするなどの訴えで保健所に届けた数だけでも,1972年5月から8月にかけて6,200名にのぼり,さらに被害が増大する傾向がある。

手術

再び涙嚢摘出後涙道形成術の成功例—涙道形成に関する研究—その9

著者: 三宅正夫

ページ範囲:P.911 - P.917

緒言
 涙嚢摘出後,涙小管涙嚢窩を経て,鼻涙管を利用した涙道形成術を行ない,幸いにして成功した例をすでに報告1)した。
 今までにわが国はもちろん,最近の諸外国の文献にもそのような例を見ない。

第77回日本眼科学会印象記

第1日(5月25日)第1会場—(涙器・小児眼科・特別講演・屈折・角膜・その他)/第1日(5月25日)第2会場—(水晶体・網膜)

著者: 植村恭夫 ,   野寄喜美春

ページ範囲:P.925 - P.933

 第77回日眼総会は,盛岡市の岩手県民会館において開催された。第1日目(5月25目・金)は朝から好天にめぐまれ,残雪をいただく岩手山,八幡平をはじめ美しい山なみに囲まれ,久々に東京の汚れた空気と異なる新鮮な空気に接し,脱都会の気分を味わつた。会場にあてられた岩手県民会館は,本年4月に完成された真に豪華な建物で,館内も広く,ゆつたりとした気分で講演を聞き,久々に地方の友人と語りあうことができた。
 私の印象記の担当は第1会場の午前,午後ということで,涙器,小児眼科,特別講演,屈折,角膜に関するものである。

第2日(5月26日)第1会場—(電気生理・特別講演・感染症・公害)/第2日(5月26日)第2会場—(眼機能・全身病・ベーチェット病)

著者: 鈴村昭弘 ,   関亮

ページ範囲:P.934 - P.941

 天気予報では,今日あたり雨ではないかと思われたが,Prof. Maumeneeの言ではないが,会長今泉教授の神通力のためか,本日も晴天に恵まれ,静かなかつ伝統ある盛岡の町で,最も近代的な新しい会場で第2日目が野寄教授の座長で始まつた。
 本日の午前中は電気生理と特別講演である。

第3日(5月27日)第1会場—(螢光・特別講演・宿題報告)/第3日(5月27日)第2会場—(眼圧・その他)

著者: 坂上英 ,   所敬

ページ範囲:P.942 - P.949

 好天に恵まれたこの度の学会であつたが,第3日目も綺麗に晴れ上がつていた。まだ参会者が出揃わず空席もかなり目立つていたが,定刻9時,塚原教授(関西医大)座長席に着き第75席の講演から始められた。

GROUP DISCUSSION

第14回緑内障

著者: 須田経宇

ページ範囲:P.951 - P.955

I.Developmental Glaucomaについて
 須田(司会)本日は単性緑内障を土台にものを考えてみることにしました。従来若年性緑内障といわれたものは単性緑内障が若い時におこつたものといわれていたが,最近はdevelopmental glaucomaのlate typeが多いのでないかといわれている。このdevelopmentalglaucomaについて井上博士に。

色覚異常

著者: 市川宏

ページ範囲:P.957 - P.960

 今年のグループディスカッションの主テーマは「学校保健法および入試就職試験における社会的偏見」,また特別講演は色覚心理の分野から池田光男氏による「最近の色覚学説」が選ばれた。学校保健法における現行の色覚検査法については,眼科医会からも改良の必要が答申案の中にとりあげられ,グループディスカッションで検討してほしいとの要望があつたこともあつて,時宜を得たテーマとなつた。一般演題が6題,主テーマに関する演題が5題,それに特別講演が行なわれたので,主テーマについての討議が必ずしも十分に行なわれたとはいいがたいが,さらに討議を必要とする残された部分については何分にも急を要する事柄であるので,1973年春開催予定の色覚研究会で引きつづき検討してほしいと思つている。
 慣例に従つて今回の討議内容を紹介することにするが,グループディスカッション当日,講演集を配布したので,発表内容に関心のある方は講演集をみていただぎたい。残部がいくらか私の手もとにあるので,ご希望の向きはご連絡下さい。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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