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連載 眼科図譜・190
人間ドックの眼底検査で発見したRetinoschisisの1例
著者: 武尾喜久代1 井上治郎1 金上貞夫2
所属機関: 1帝京大学医学部眼科学教室 2
ページ範囲:P.981 - P.982
文献購入ページに移動Retinoschisisは欧米にはかなりの報告例があるが,日本ではあまり報告がなく,その報告もすべて視力障害を起こして眼科医を訪れて発見されたものである。今回私どもは,62歳の男子の両眼にこの病変を見出した。この例は人間ドックで偶然発見したもので,自覚症状は全くない。他覚的には軽い周辺視野欠損と,両側眼底の下外方にみられた嚢腫様の病変である。網膜剥離とは異なり境界が鮮明であり,剥離している内層を通して脈絡膜紋理がよく見える。この病変はsenile Retinoschisisの初期と思われるが,本人もこの病変をまつたく自覚していないし,視野欠損も少しなので,このままなんら手を加えないで観察している。
第1図初診時(1972年2月25日)の眼底。右眼の下外方に嚢腫様隆起があり,境界鮮明,脈絡膜紋理がよく透見できる。
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