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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科27巻9号

1973年09月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・191

Fundus Flavimaculatusに白点変性の合併した症例

著者: 鈴木宜民 ,   千葉弥幸

ページ範囲:P.1077 - P.1078

〔解説〕
症例:金田某男11歳
初診:1972年3月21日

座談会

全身疾患と眼—その全体像把握のためにその2脳・神経疾患と眼(2)

著者: 豊倉康夫 ,   井街譲 ,   石川哲 ,   中村紀夫 ,   三島済一

ページ範囲:P.1080 - P.1091

はじめに
前半では特に眼疾患が神経疾患の局在を診断する上にいかに重要であるかという点にポイントを置いてお話をして頂きました。今回はその続きとして「瞳孔運動と神経疾患の診断」から始まり,ついで眼疾患が神経疾患の病理を把握する上でどのような役割を果しているかという点にポイントをしぼつてお話をして頂きました。この問題は非常に多方面に渡つておりますので,時間の制約の関係ですべての点を網羅してお話願うことができなかつたことは残念でありますが,血管系疾患や髄膜炎,中毒などの重要な問題をお話いただけましたし,また最近の酵素学的な知見を含めて,将来の神経疾患の理解に対する展望も伺うことができました。遠路わざわざこの座談会においで頂きました4人の先生に厚く感謝する次第です。(三島)

臨床実験

眼窩Embryonal Rhabdomyosarcomaの1例—光顕的・電顕的観察

著者: 三木徳彦 ,   檜垣忠尚 ,   安澄剛興 ,   杉本浩一

ページ範囲:P.1093 - P.1102

緒言
 小児の眼窩に原発する悪性腫瘍は比較的まれなものである。従来,眼窩原発の横紋筋肉腫は,Calhoun & Reese (1942)1)の報告にみられるようにごくまれなものとされていたが,近来欧米では比較的多くの症例2)〜5)を集めた報告がみられるようになり,次第に注目されてきており,小児眼窩原発悪性腫瘍としては重要な位置をしめるにいたつた。しかしながら,わが国における眼窩原発横紋筋肉腫の報告は,著者の集計では現在まで約12例を数えるにすぎない。これは人種差によるものか,関心がうすいためかは明らかでない。
 このたび,小児の眼窩に原発した横紋筋肉腫(embryonal type)を経験したので,その臨床所見,ならびに光顕的・電顕的観察所見について報告する。

トキソプラスマ網膜脈絡膜炎と特発性網膜剥離を同時に認めた症例

著者: 松田一夫 ,   安積慶子 ,   神矢博子 ,   田中良章

ページ範囲:P.1103 - P.1108

緒言
 同一眼にトキソプラマス網膜脈絡膜炎と特発性網膜剥離を同時に認め,安静により網膜を復位せしめ,アセチルスピラマイシン,副腎皮質ホルモン等を投与しながら,ジアテルミー穿刺凝固,シリコンプロンベ縫付を行ない,術後,良好なる経過を辿るように思われたが,術後3週頃より黄斑部皺襞を形成し,視力障害をきたして固定した症例を報告する。

視交叉付近動脈瘤の臨床

著者: 井街譲 ,   下奥仁 ,   岡本のぶ子

ページ範囲:P.1109 - P.1119

緒言
 頭蓋内動脈瘤は,全身剖検例の0.5〜1.5%に,大脳のみの剖検例の2〜3%にみられ,比較的稀な疾病である1)。しかし,頭蓋内動脈瘤が破綻すると直接生命をおびやかすために,動脈瘤が破綻する前に本症の存在を確認して,外科的処置を加えることが必要である。頭蓋内動脈瘤の発生部位は大脳血管の分岐部,特にWillis circleを中心とした領城に多く,しかもその前部にみられるものが後部にみられるものの約2倍あるという2)。そしてWillis circleの前部は解剖学的に視路や眼筋神経と密接に関係しているため,本症により惹起せられる最も大切な,かつ早期の症状は眼科的所見である。
 著者は,外眼筋麻痺症例において,神経眼科的アプローチの1つとして,必要により脳血管撮影を行なつているが,最近数年間に種々の神経眼科的徴候を示した12例の頭蓋内動脈瘤症例を得た。この症例数は決して多いものではないが,本論文においては本症についての総括的な考察とともに2,3の興味ある症例について検討を加える。

いわゆるGarcin's syndrome (Multiple cranial neuropathy)をきたした頭蓋底骨髄炎の1剖検例

著者: 諫山義正 ,   山中昭夫 ,   玉木紀彦 ,   雲井健雄 ,   藤谷哲造 ,   京極久方 ,   鷺野英磨

ページ範囲:P.1121 - P.1128

緒言
 後部副鼻腔炎が頭蓋内合併症をきたすという報告は古くは多く見受けられたが,最近の化学療法の発展により非常に稀なものとなつた。しかし今後抗生物質耐性菌の発生とともに,再びその診断および治療上種々の問題が発生すると考えられる。
 われわれは最近いわゆるGarcin症候群(またはMultiple cranial neuropathy)を呈し死亡した興味ある一症例を経験し,剖検の結果原発巣が後部副鼻腔炎と考えられ,経過中非常にまれとされている慢性の頭蓋内合併症をきたした症例を得たので報告する。

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第27回日本臨床眼科学会・日程

ページ範囲:P.1130 - P.1135

第26回日本臨床眼科学会臨床特別講演

鼻性球後視神経炎,鼻性動眼,外転神経麻痺,歯性副鼻腔炎による眼障害について

著者: 仁保正次

ページ範囲:P.1137 - P.1146

緒言
 鼻性球後視神経炎はOnodi,A.1)(1904)により"Die Sehstörungen und Erblindung nasa—len Ursprungs,bedingt durch Erkrankungender hinteren Nebenhöhlen"と題して論ぜられて以来,幾多の迂余曲折を経た疾患である。
 本邦においては1925年増田教授(鼻副竈疾患と眼との関係),石原教授(眼と鼻副竈との関係)により日本耳鼻咽喉科学会で宿題報告された。

白内障手術の偶発症とその対策—主として硝子体脱出を中心として

著者: 増田義哉

ページ範囲:P.1147 - P.1155

緒言
 白内障を手術した経験のある眼科医であれば,一度は思わぬ失敗をして,手術当夜,心配で夜もおちおち眠れなかつたことを体験しておられる方も少なくないと思う。眼科の手術はどの手術でもデリケートな手術であるが,特に白内障手術は開眼を約束され.10中8,9大丈夫といわれて手術を受けた患者側の身になつてみると手術の失敗は大きなショックであり,医療事故にもつながる大きな問題である。したがつて,術者も,安易に予後を告げてはならない。通常の老人性白内障についてもそうであるが,殊に併発白内障,ことにブドウ膜炎,あるいは高度近視,緑内障に併発した白内障や,ある種の外傷性白内障または先天性白内障のような特殊白内障の手術の予後については特に慎重でなければならない。
 そこで,一般に白内障手術の成功するか否かは,起こり得べき偶発症を考慮に入れながら,それを予知し,その対策を講ずるのみならず,偶発症が起きた場合は,間髪を入れず最小限度の障害に止めるべき臨機応変の処置ができるか否かにかかつていると思う。

GROUP DISCUSSION

近視

著者: 山地良一

ページ範囲:P.1157 - P.1160

 本年の近視グループディスカッションにおいては次の6演題について討議が行なわれた。

眼の公害・医原性疾患

著者: 今泉亀撤

ページ範囲:P.1161 - P.1166

 今回は枚数制限と,講演内容および討論をすべて世話人がまとめることを要望されたが,講演内容については発表者の趣旨が曲解されることを避けるために,提出された抄録をそのまま記載し,討論についてのみ世話人が発言要旨および記録をもとにして,その要点を追記した。
 したがつて質問追加事項に関して,発言者の意をつきせぬ部分があつたことについてご了承を乞う次第である(今泉記)。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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