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臨床実験
視交叉付近動脈瘤の臨床
著者: 井街譲1 下奥仁1 岡本のぶ子1
所属機関: 1神戸大学医学部眼科学教室
ページ範囲:P.1109 - P.1119
文献購入ページに移動頭蓋内動脈瘤は,全身剖検例の0.5〜1.5%に,大脳のみの剖検例の2〜3%にみられ,比較的稀な疾病である1)。しかし,頭蓋内動脈瘤が破綻すると直接生命をおびやかすために,動脈瘤が破綻する前に本症の存在を確認して,外科的処置を加えることが必要である。頭蓋内動脈瘤の発生部位は大脳血管の分岐部,特にWillis circleを中心とした領城に多く,しかもその前部にみられるものが後部にみられるものの約2倍あるという2)。そしてWillis circleの前部は解剖学的に視路や眼筋神経と密接に関係しているため,本症により惹起せられる最も大切な,かつ早期の症状は眼科的所見である。
著者は,外眼筋麻痺症例において,神経眼科的アプローチの1つとして,必要により脳血管撮影を行なつているが,最近数年間に種々の神経眼科的徴候を示した12例の頭蓋内動脈瘤症例を得た。この症例数は決して多いものではないが,本論文においては本症についての総括的な考察とともに2,3の興味ある症例について検討を加える。
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