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特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その1) 講演 特別講演 学会原著
慢性二硫化炭素中毒の網膜症
著者: 高橋正孝1 加藤桂一郎1
所属機関: 1福島県立医科大学眼科学教室
ページ範囲:P.47 - P.54
文献購入ページに移動緒言
19世紀半ばヨーロッパにおいてゴム工場の職工に多くの弱視患者が発生した。これはゴム製造過程に使用される二硫化炭素ガスの吸入による中毒性弱視であるとされ,定型的な中心暗点を特徴としながら眼底にあまり変化を認めないことから,慢性球後視神経炎の一つと考えられていた。その後漸次職場環境,労働条件等が改善され,初期の激しい中毒症状がほとんど見られなくなつたため,すでに本中毒症は忘れ去られようとしている。
しかし今日でも二硫化炭素(以下CS2と略す)は主としてビスコースレーヨンおよびセロファン工業において人絹,スフ,セロファンの製造に用いられており,眼科的にも本中毒患者が糖尿病性網膜症ときわめて良く似た螢光パターンを呈することが報告されている1)2)3)。
19世紀半ばヨーロッパにおいてゴム工場の職工に多くの弱視患者が発生した。これはゴム製造過程に使用される二硫化炭素ガスの吸入による中毒性弱視であるとされ,定型的な中心暗点を特徴としながら眼底にあまり変化を認めないことから,慢性球後視神経炎の一つと考えられていた。その後漸次職場環境,労働条件等が改善され,初期の激しい中毒症状がほとんど見られなくなつたため,すでに本中毒症は忘れ去られようとしている。
しかし今日でも二硫化炭素(以下CS2と略す)は主としてビスコースレーヨンおよびセロファン工業において人絹,スフ,セロファンの製造に用いられており,眼科的にも本中毒患者が糖尿病性網膜症ときわめて良く似た螢光パターンを呈することが報告されている1)2)3)。
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