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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科28巻1号

1974年01月発行

文献概要

臨床報告

周辺部網膜凝固による糖尿病性網膜症の治療

著者: 菅謙治1 永田誠1

所属機関: 1天理よろづ相談所病院眼科

ページ範囲:P.175 - P.183

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緒言
 糖尿病性網膜症に対する光凝固は,1959年のMeyer-Schwickerath1)の悲観的な報告をはじめとして,その後数多く報告されるに至り,その効果は網膜症の早期に光凝固を行なえば,網膜症の進行を遅らせることができるとするのが大勢の結論となつた2)。しかしこれらの報告のほとんどすべては病的網膜や新生血管などの網膜症病変を直接に凝固してえられた成績であるので,凝固しえない部位の病変,たとえば乳頭上からの血管新生などはいかんともしがたく,光凝固の限界はここにある3)〜6)とされてきた。また一方光凝固の治療効果も網膜病変が凝固破壊されたことによつてえられたものなのか,あるいは病変の破壊というよりはむしろ広範囲の網脈絡膜が凝固されたことに関係があるのか7)といわれており,いまだその奏効機序に関しても結論がえられるに至つていない。
 本報においては上下耳側血管のArcade内のみを除いて広い範囲の網膜を凝固し,この凝固がArcade内の凝固を行なつていない後極部病変におよぼす効果を報告するのであるが,先に述べた理由からこれは従来の光凝固の限界への挑戦であり,また光凝固の奏効機序を考察する上でも有用であろう。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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