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臨床報告
Biological Plasticsを素材としたHard Contact Lensについて(その2)
著者: 神谷貞義 山本時彦1 北国秀三郎2 大西靖彦2
所属機関: 1日点医組研 2名糖産業株式会社
ページ範囲:P.1109 - P.1113
文献購入ページに移動筆者は前論文において1),従来のHard Contact Lens(CL)はポリメチルメタアクリレート(PMMA)を素材としたもので,近年急速に普及したものであるが,実情としては,これを処方された患者のうち30%が装用不可能に終わつている。その原因は,PMMAは疎水基のみで全く水に濡れないため,目になじまないからだとされている。そして,その欠点を補い,これに親水性を与えるため多くの工夫,研究がなされてきたが,これらの努力は今日まで全く実を結ばない状態にある。
以上の点に鑑み,筆者は,CLに可及的角膜そのものに近い性質を与えるべきではないかと考え,角膜自体の主成分および構造は三次元的二重格子構造を持ち,生体ガラスとも称せられる比較的拒否反応の少ないコラーゲン,フィブリルと水和状態で特異的なHydrophilicな挙動を示す酸性ムコ多糖類とのグラフトまたは架橋結合をなすと想定される点から,極性または非極性高分子物質と酸性ムコ多糖,もしくは類似の性質を有する親水性多糖類との結合を試み,いくつかの物質を得た。その一つの試みとして,従来のCLの素材であるMMAと親水性多糖類のうち,特異的な三次元構造を有するデキストランとの共重合を行ない,新物質を得た。
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