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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科28巻10号

1974年10月発行

私の経験

レーザー光からの眼の防護

著者: 野寄喜美春1

所属機関: 1埼玉医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1171 - P.1174

文献概要

はじめに
 レーザー光は通常光に比べてはるかに強いエネルギーを有し,しかも集束性がきわめてよいから減衰することなく遠距離に到達する。また眼光学系は集光系であるから,強くコリメートされたレーザー光が眼屈折系に入ると,網膜上に結像して光凝固反応をおこし,組織を障害して失明のおそれがある。このようにレーザー光によつて障害される眼の部位は主として網脈絡膜であり,とくにレーザー光を直視することによつてさらに凝固閾値の低い黄斑部が障害され,中心視力を失うことがある。とくに最近では高出力のレーザー装置が広く使用されており,生体に対する危険が増大している。
 1961年に実用型のルビーレーザーが開発されてから1),光学上の応用とともに暴発によつて実験中に眼障害を起こした例が報告され2),その後レーザーに対する防護対策が注目されてきた3)。とくにQスイッチレーザーが完成してから,その凝固閾値がnon Qスイッチレーザーに比べてはるかに低いことがわかり,その危険はますます増大した。しかし1960年代後半にCW型(連続発振型)のガスレーザーが登場して以後,事故は減少した。これはCW型レーザーの凝固閾値が大なこと,および防護対策の徹底したためと思われる。70年以後には主としてアメリカでレーザー光に対する安全規格が設定され4)現在に及んでいる。ここでは主としてレーザー光による網脈絡膜の傷害を防ぐため,その凝固条件の検討および対策についてのべたい。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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