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雑誌目次

雑誌文献

臨床眼科28巻11号

1974年11月発行

雑誌目次

連載 眼科図譜・204

角膜実質炎に続発した前房内硝子様網状物

著者: 早坂征次 ,   清宮輝夫 ,   涌沢成功

ページ範囲:P.1197 - P.1198

〔解説〕
症例:吉○好○55歳男
初診:1973年9月11日

臨床報告

2色光法による暗順応の測定

著者: 池田光男 ,   金子修一郎 ,   近江政雄

ページ範囲:P.1199 - P.1202

緒言
 暗順応曲線とは,周知のように明るい所から暗い所に急に移つた場合に,視覚系の光覚閾あるいは感度がどう変化していくかを示すものである。これを測定してみると,たとえば第1図の実線で示した曲線1のように,途中にへこみをもつた曲線となる。ここで図の横軸は暗順応時間tであり,縦軸は光覚閾△Nを対数で表示している。上記の暗順応曲線は,点線で示されるように,錐体と桿体のそれぞれの暗順応曲線によつて構成されるものであり,その交点Kがへこみを与え,これにコールラウシュ屈曲点と名づけていることもよく知られていることである。
 臨床上では,この一本の曲線から錐体,桿体の有無,錐体および桿体の絶対閾,さらにコールラウシュ屈曲点の位置など,視覚系の機能の一面を表わす基礎的なデータを知ることができる点で,大切な測定結果である。しかしながら第1図をみても明らかなように,上記のデータを知るためには,眼を非常に強い前順応光に順応させ,かつ30分近くもの長時間にわたつての測定を継続しなければならない。弱い前順応光を与えた場合には,同図の曲線2のように暗順応時間の短い所で桿体の曲線が現われ,曲線は一本の単調な形のものとなり,コールラウシュ屈曲点は顕著にでてこないからである。

Blowout fractureの診断法—(特にX線診断)第3報骨膜下造影法

著者: 青島周明

ページ範囲:P.1203 - P.1209

緒言
 Blowout fractureのX線学的診断法についての第1,2報1)2)では,骨折の型まで診断ができるのは70%であると報告した。今回は,さらに確実にその型を診断できる方法として,骨膜下造影法を試みた。
 その基礎的実験として,家兎の骨膜下に造影剤を注入し,X線上における読影の至適濃度,至適撮影時間の決定,ならびに造影剤の骨膜におよぼす影響の組織学的検索を試みた。

肺癌の脈絡膜転移についての2,3の問題

著者: 雨宮次生

ページ範囲:P.1211 - P.1215

緒言
 近年,癌患者の増加とともに,脈絡膜転移癌の増加していることは周知の事実であるが,転移癌の中でも,比較的まれとされていた肺よりの脈絡膜転移癌も増加の傾向にあることは,最近の症例の追加報告者が指摘するところである6)14)18)。これら続々と追加される報告を読んで気づいた2,3の点を,著者の経験をもとに考察してみたい。

FarnsworthのTritan plateによる先天性色覚異常検出成績

著者: 大谷公子 ,   太田安雄 ,   小暮慎二 ,   加藤晴夫 ,   清水金郎 ,   関亮

ページ範囲:P.1217 - P.1222

緒言
 FarnsworthのTritan plateは元来第3色覚異常の検出を目的として作られたが,1968年英国Edinburghで行なわれたSociety of ScottishSymposium of colourの席上, Taylorら1)は,この表が先天性第1,第2色覚異常に対し検出表として非常に有効であり,石原表,東京医大表,H.R.R.表などと同じ97%前後の検出率があると発表している。
 今回われわれは,Tritan plateを用いて第1,第2色覚異常の検出についてその追試を行ない,さらにNagel式Anomaloskop I型,石原表,大熊表,東京医大表,Panel D−15,色彩弁別検査器,市川—Lantern等の臨床成績と比較検討したので,その成績について報告する次第である。

メチアジン酸の研究—その1大量投与ラットにおける薬理学的研究

著者: 大西宏司 ,   疋田春夫 ,   宮田幹夫

ページ範囲:P.1223 - P.1227

緒言
 われわれは前報7)においてメチアジン酸のブドウ膜炎に対する抗炎症作用および鎮痛作用について報告し,一応の効果を認めた。しかし本剤を安心、して長期に使用する場合,なんらかの影響が網膜に発生するようであれば,それを検討しておく必要がある。なぜならば,本剤はフェノチアジン誘導体であり,その構造式は下記に示されている通りである。
 ある種のフェノチアジン系薬物がきわめて長期に,しかも大量に使用された場合,動物実験において末期に網膜の変性を起こす可能性があることが過去に報告されている1)。そこで今回はウィスター今道ラットを用い,大量投与による亜急性実験を行ない,特にERGを測定し,同時に形態学的研究ならびに生化学的な検査を併用して,副作用について検討してみた。

手術

眼瞼の形成手術—第4報三角瞼の形成手術

著者: 井出醇 ,   青島周明

ページ範囲:P.1229 - P.1234

緒言
 元来瘢痕組織は軟部組織の中にあつて,かたい索状物として触れ,拘縮を起こし,醜形を呈するばかりでなく,円滑な運動を阻害している。しかるに,軟骨様の結合組織からなる瞼板にあつては,瘢痕はむしろその周囲より軟らかく,その部でしばしば異常に屈曲する原因となり,また伸展して眼瞼を変形させている。このように眼瞼は形成外科的にみてきわめて特異な場所であること,また「兎眼といえば植皮」というように,これまで外傷性兎眼の手術にあまりに安易に植皮の行なわれてきたことに対する反省,しかしあくまで眼形成といえども形成手術であるから,その原則的手技の応用に忠実でなければならないこと,これらのことを再確認する目的で本論文は書かれた。
 ところで三角瞼とは,外傷性兎眼に対して与えられた別名であつて,この場合兎眼がおおむね底辺を瞼縁に,頂点を円蓋部に持つ三角形を呈するところからこう名付けられ1),大部分は瞼縁にまで及んだ表皮の線状瘢痕と瞼縁の歪みよりなりたつが,これまで形成手術の困難なものの一つに数えられてきた。

眼・光学学会

回転式遠隔制御視力検査機について

著者: 神谷貞義 ,   三ツ谷繁男

ページ範囲:P.1241 - P.1245

緒言
 本視力検査機は,視標印刷媒体としてポリエステル感光フィルム(成分:テレフタル酸ジメチルエステル・エチレングリコール)を用い,エンドレス構造にして回転させ,遠隔制御方式にした視力検査機である。また各視力値は1つの視標原型(国際規格品寸法のものを5倍に拡大)を縮少するという方法を採用している。
 このポリエステル感光フィルムは巨大な乾板とも称すべきもので,プラスチックのうち,もつとも分子配列に方向性をもつた結晶構造を呈しており,表面は乱反射しない乳光を発するが,垂直方向に優れた透光性があるため,視標印刷媒体として最適である。今回の発表では,本視力検査機が「ぼけ」の欠点が一掃され,高精度(誤差0.01%以下)であることを国産,外国産のLandolt環等の拡大写真の比較から立証し,基準試視力表として最適であることを紹介する。

無水晶体眼における角膜乱視と矯正眼鏡レンズ—第1報Ophthalmometerで測定される角膜乱視と矯正円柱レンズ度の換算

著者: 大島祐之

ページ範囲:P.1247 - P.1251

緒言
 Ophthalmometerは今日,コンタクトレンズ装着の検査に主用されているが,歴史的にみると1881年Javal et Schiötz1)による発表以後生まれた各種の器種は,角膜乱視の測定を眼の全乱視に結びつけ,乱視検査の簡易化に役立たせんとされた時代が続いた。現在でもophthalmometer各器種の測定目盛には曲率半径mmとともに角膜屈折力Dが刻まれ,なかにはD目盛のみを具えた器種もあるが,有水晶体眼においては水晶体乱視未知のまま,角膜乱視から全乱視を推定しても大近似に止まるところから,乱視検査へのophthal—mometerの活用は次第に等閑視されるに至つた。そして角膜乱視測定が的確に矯正眼鏡レンズの選定に役立つはずの無水晶体眼に対しても,ophthalmometerはさして活用されていないように思われる。
 無水晶体眼の乱視は,角膜乱視だけで構成されると考えることができるが,それを眼鏡矯正する場合,無水晶体眼が通例強度遠視であるだけに,レンズ角膜頂点問距離の存在を無視できないはずであるにもかかわらず,文献を渉猟した範囲ではその検討が十分に行なわれているとは思えず,この度その問題に関して臨床的に有用と思われる知見を得たのでここに報告する。

同時立体螢光眼底撮影装置の試作(第1報)

著者: 松井瑞夫 ,   伊藤研一 ,   神谷稔 ,   田辺章 ,   滝沢志郎

ページ範囲:P.1253 - P.1257

緒言
 立体眼底写真は,単に縦,横.それに深さの三次元の情報を与えるばかりでなく,左右一対の写真が互いに補い合つて,すぐれた解像を示すという利点もあり,眼底診断に有効な手段としてひろく応用されている。
 眼底カメラによる眼底の立体撮影の方法に関しては,すでにAllen1)〜3),三国ら4)により報告されている。そしてその手法を用いれば,だれでも容易にすぐれた立体眼底写真を得ることができる。

私の経験

眼科診療におけるポラロイドフィルムの効用

著者: 深尾隆三 ,   永田誠

ページ範囲:P.1259 - P.1263

はじめに
 眼底写真撮影をはじめとする各種写真技術が,眼科診療に占める比重は近年増大の一途をたどつている。
 眼科医は自己の症例の所見を正確に記録するために,自身優秀な技術を持つた写真技師でなければならないが,最近の診断技術の進歩に伴う膨大な検査事項を,すべて自らの手で行なうことは次第に困難な事情となりつつある。

基本情報

臨床眼科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1308

印刷版ISSN 0370-5579

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