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連載 眼科図譜・205
網膜動脈閉塞症の螢光眼底写真にみられたフルオレスチンの逆流現象
著者: 升田義次1 堀ヤヱ子2
所属機関: 1富山市ますだ眼科医院 2富山市赤十字病院眼科
ページ範囲:P.1285 - P.1286
文献購入ページに移動48歳の男子である。2週間前より頻回に一過性の右眼視力低下を認めている(2〜3回/週,1〜2分間)。その原因は,発作時の眼底所見から,右外下側動脈の乳頭より1乳頭径の部分にみられる動脈攣縮であると判断された。内科的に特に異常所見はない。塩酸ハパベリン,ニコチン酸,カリクレイン,カピランなどの内服,ニコリン,ウロキナーゼなどの静注を行なつたが,ついに完全な閉塞に至り回復しなかつた。一過性の動脈攣縮から永久的な動脈閉塞に至つた例である。
閉塞後約12時間後の所見は次のごとくである。視力は右1.0(n.c),左1.5である。眼底は,右外下側動脈の乳頭より1乳頭径の所に動脈の閉塞部分(白線状)を認め,その末梢は細く,血柱が分節状にとぎれている。その分布領域の網膜は扇状に混濁し,それに一致して視野欠損を認める。
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